研究課題/領域番号 |
19KK0247
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
多賀 厳太郎 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 教授 (00272477)
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研究分担者 |
保前 文高 東京都立大学, 人文科学研究科, 教授 (20533417)
續木 大介 高知大学, 教育研究部自然科学系理工学部門, 講師 (50646346)
儀間 裕貴 東京都立大学, 人間健康科学研究科, 准教授 (50708039)
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研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2024-03-31
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キーワード | 胎児 / 脳 / サブプレート / 白質線維 / 胎動 / MRI / 発達 |
研究実績の概要 |
ウィーン市立総合病院で撮像された胎児期の脳の構造画像(MRI T2)、及び全身運動画像(SSFP法を用いたcine MRI)を対象とし、脳の形態発達と胎動の発達に関する分析を進めた。また、ウィーン医科大学・ウィーン市立総合病院に滞在し、cineMRI胎動データに紐付けされた在胎週数、症状、予後等のデータの収集を新たに行った。
皮質の形態とネットワークの発達の原理を明らかにするために、皮質に対して放射方向と接線方向に働く機構についての仮説を立てた。皮質は、脳室帯で産生された神経細胞が放射状に脳表面側に移動することで成長する。そこで、脳室帯から皮質表面へ向かう放射状線維の数が、脳室帯での細胞産生速度の空間的勾配に依存するというプロトマップ仮説に加え、脳室―皮質間のマクロな幾何形状にも依存するという幾何形状仮説を検討した。胎児の脳構造画像データ上で仮想的に放射状線維密度を求めるシミュレーションを行い、皮質の成長パターンに与える要因を検証することが可能になった。一方、連合線維は、投射線維や交連線維よりやや遅れ、サブプレートと脳室下帯の境界において接線方向に形成される。そこで、連合線維の形成に関するサブプレート接線方向ネクサス仮説を検討した。脳表のあらゆる2点間の測地線を求め、測地線の通過密度を求め、主要な白質線維束と比較することが可能になった。これらより、胎児期の脳のマクロな幾何形状が皮質及びネットワークの発達に及ぼす影響を検証することが可能になった。
胎児の体幹運動の特徴を定量化するため、撮像されたデータから、胎動が多く見られたケースを選択した。体幹の輪郭をフレームごとにマニュアルでトレースした。頭部から尾部を9つのセグメントに等分割し、隣り合うセグメントのなす角度を求め、それらの時系列を得た。これより体幹の協調動作を定量化し、児の週齢や予後との関連を調べることが可能になった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症のため、現地でのデータ収集作業が一時中断されていたが、本年度はそれを再開し、計画していた研究が進行した。
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今後の研究の推進方策 |
現地でのデータ収集や共同研究者との集中的な議論を行い、計画していた研究を引き続き実施し、研究成果のまとめを行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症のため、ウィーン医科大学でのデータ収集作業ができない状況が続いたため、現地への出張を含む研究の部分を延期した。本年度は、当初計画していた現地に滞在して行う研究を実施する。
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