研究課題/領域番号 |
19KK0252
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
古屋 晋一 上智大学, 上智大学, 准教授 (20509690)
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研究分担者 |
平野 雅人 上智大学, 上智大学, 研究員 (40852223)
上原 一将 生理学研究所, システム脳科学研究領域, 助教 (90746661)
瀧山 健 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40725933)
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研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2023-03-31
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キーワード | 可塑性 / 運動機能 / 体性感覚機能 / 感覚運動統合 |
研究実績の概要 |
今年度は,実験系のセットアップと,計測システムの開発と動作確認を重点的に行い,リサーチアシスタントや研究協力者らが中心となって,指運動センシングシステムおよび指感覚機能評価システムの開発を完了することができた.ユーザーテストをピアニストを対象に実施し,時間的・空間的分解能の高い運動情報計測や,指の体性感覚閾値の高精度な評価が可能であることを確認した.さらに,脳波計測や非侵襲脳刺激の実験系を確立し,パイロット実験を行うことで,研究計画通りに神経生理実験ができることが明らかとなった.我々が開発した生体計測システムの設置と研究計画のディスカッションのために,2020年に入ってハノーファー音楽演劇大学を訪れる予定であったが,コロナウィルスが世界的に蔓延し,渡航リスクが高かったため,渡独は延期するよう研究計画を変更し,その期間,数名のピアニストを対象としたパイロット実験を国内で実施した後に,データ解析用プログラムの整備に従事した. また,研究代表者と研究分担者らとのミーティングを定期的にオンサイトおよびオンラインで実施し,研究計画や計測データについての議論を綿密に行った.特に脳波については上原氏および平野氏と,行動実験については瀧山氏との議論を重点的に行った.さらに,共同研究者であるハノーファー音楽演劇大学のEckart Altenmuller教授とのオンラインでのディスカッションも定期的に行い,開発システムや計測データについてのアドバイスを受けた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の計画は,実験用の自作装置の製作と動作検証,実験手技の確立,および研究計画の推敲であったが,全て実施が完了したため,当初の研究計画通り進行していると考える.当初予定していた渡独は,コロナウィルスの蔓延に伴い延期となったが,現地での共同研究者との議論をオンラインで密に行うことにより,概ね計画通りに実施することが可能となった.
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今後の研究の推進方策 |
今年度開発したセンシングシステムおよび整備した実験系を用いて,コロナウィルスによる社会状況が改善後,速やかに被験者を対象とした実験を実施する.大規模な実験であるため,実験データは実験と並行して解析を行い,検証を行う.また,ハノーファー音楽演劇大学の実験に際しては,出身大学である尾崎助教の協力の下,被験者のリクルート等の実験環境の整備を行い,当該大学のEckart Altenmuller教授と連絡を密に取りながら,効率良く実験を実施する. 実験後は,日本側とドイツ側の研究者によるオンサイトおよびオンラインでのミーティングを実施し,実験結果の考察を深めた後,昨今の社会状況を顧みて,国際学会での成果の発表は控え,学術論文の執筆に速やかに着手する. 2021年度からは日本側研究者がハノーファー音楽演劇大学に常駐し,実験や解析等を実施することで,より密な国際連携の実現と,日本側若手研究者の育成を目指す.
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウィルスの世界的な蔓延に伴い,当初予定していたドイツへの渡航が学内規定のために不可能になったことと,被験者を対象とした実験の実施が難しくなったため,これらの実施を次年度に繰り越して実施するために,翌年度へ予算を繰り越すに至った.
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