研究課題/領域番号 |
19KK0257
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
松崎 隆哲 近畿大学, 産業理工学部, 准教授 (20363385)
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研究分担者 |
石田 繁巳 九州大学, システム情報科学研究院, 助教 (10724388)
峯 恒憲 九州大学, システム情報科学研究院, 准教授 (30243851)
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研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2023-03-31
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キーワード | 故障検出・予測システム / 振動センシング / 不具合推定システム |
研究実績の概要 |
本研究では,市販のWiFi機器を観測対象となる機器の近くに配置して通信するだけで産業用機器の振動をセンシングし,機器の故障及びその予兆を検出する手法の実現を目的としている.特に,産業用機器の動作に関する深い知識を持たない人が低コストなセンサを後付けするだけで機器の故障を検出・予測できるシステムが実現できないか?という問いに答えるべく,新たなセンシング技術について研究を行っている. WiFi通信の伝搬路は周辺環境の変化によって影響を受けており,WiFiモジュールからCSI(Channel State Information)情報として取り出した伝搬路情報を解析することで,周辺環境の変化を推定することができる.そこで,産業用機器の振動によってわずかに変化するWiFi通信の伝搬路情報から,機器の振動状態を推定する手法を研究する.そして,学習していた通常稼働時の振動状態との比較により,通常とは異なる振動をした場合を異常振動として検出するだけでなく,日々の振動状態をデータベースに蓄積し,作業日報における点検結果および故障やその予兆に関する情報と関連づけて学習することで,故障の兆候の検出や将来的な故障の予測を行う故障検出・予測システムの研究を行う.故障検出・予測システムを日本国内と異なるマレーシアの環境下で評価することで,提案システムが利用する環境を選ばず有効であることを明らかにする. 研究課題の遂行にあたり、現地工場の環境を視察してマレーシアの工場環境について情報収集を行った.当初計画のWiFi通信を用いた振動センシングについて研究をすすめると共に,現地工場でニーズの有った温度測定についてWiFi通信などの非接触方式で実現できないか検討することにした.また,機器の不具合情報と機器の振動情報を組み合わせるために,日報にどのような異常時コメントなどを設ける必要があるかが分かってきた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では,WiFi通信を用いた振動センシング技術を実現し,産業用機器の振動をセンシングする.当初計画では,見通し環境にある1台の機器の振動をセンシングする基盤技術を日本で開発するために,機器振動状態でのCSI情報収集を行うことになっており,この目標は日本での情報収集だけでなく,マレーシア現地の工場でCSI情報収集にむけた準備に取りかかることができた. これに加えて,日報からの不具合表現抽出については,これまで研究してきた機械学習などによって複数人で記した観点の違いを吸収し共通する特徴を見つける手法を用いる事で実現できると言うことが明らかになったため.
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今後の研究の推進方策 |
当初計画通り,WiFiを用いた振動センシングについては,見通し環境にある1台の機器の振動をセンシングする基盤技術を開発する.日報データについては,振動センシングで得ることができるデータ形式を確認した上で,その得られるデータに適した日報の形式について検討を行う. 今後,現地への渡航が厳しくなってきた場合は,日本国内において,複数のWiFi機器で取得した伝搬路情報を組み合わせることで振動のセンシング精度を向上させる手法の検討および,複数台の機器を設置した環境下でのセンシング技術の開発を行うことで,工場機器で複数の振動が発生した際に検出手法について検討を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画では,WiFi通信を用いた振動センシング技術の開発や機械学習の高速化のために,実験データ収集用コンピュータ,ソフトウェア無線機,データ解析用サーバを購入する計画であったが,計画を見直して,最初は実験データ収集用コンピュータを用いてデータを得てから,ソフトウェア無線機とデータ解析用サーバの購入を検討することにしたたため次年度への繰り越しが発生した.また,国際学会の開催中止に伴って海外出張が中止になったために次年度への繰り越しが発生した.
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