研究課題/領域番号 |
19KK0258
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
藤田 和之 東北大学, 電気通信研究所, 助教 (70835545)
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研究分担者 |
高嶋 和毅 東北大学, 電気通信研究所, 准教授 (60533461)
北村 喜文 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (80294023)
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研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2023-03-31
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キーワード | バーチャルリアリティ / 触覚提示 / ロボティックディスプレイ |
研究実績の概要 |
大きく分けて2つの成果を得た. 1つ目に,複数の自走する壁型プロップを用いて,ルームスケール VR の空間インフラ(壁やドア等の空間の構造を決める境界)に関する触覚提示の研究を進めてきた.本研究では,HMD を装着したユーザの位置や動きを計測し,その情報からユーザが触れようとしている VR 内の壁面を予測するアルゴリズムを設計・実装した.また,アルゴリズムの予測に従って,ユーザの周囲に配置して触覚フィードバックを提示するための壁面プロップ型デバイスを実装した.このシステムを用いたユーザスタディにより,ユーザの歩行速度を制限すれば,ユーザに遅延なく触覚を提供でき,没入感や体験の質を向上させることが分かった.この成果を,The 33rd Annual ACM Symposium on User Interface Software and Technology (UIST 2020) のFull paperとして発表した. 2つ目として,物理的に平行移動することで擬似的なフォースフィードバックを与えるロボティックディスプレイを研究を進めてきた.本研究では,1次元方向(ユーザから見て奥行き方向)へ物理的に動作する機構を液晶ディスプレイに加えたデバイスを実装し,この動作により,液晶ディスプレイ内に表示されたコンテンツの奥行き方向の知覚が変化するかどうかを調べるユーザスタディを実施した.この結果,デバイス自体の物理的な移動は,液晶ディスプレイ内に表示されたコンテンツの視覚的な移動と同程度に奥行き方向の知覚に影響を与えること等がわかった.この成果を,2021 IEEE Virtual Reality and 3D User Interfaces (VR) のConference paperとして発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルスの影響により,計画していた渡航は全て中止となり,それに伴い研究計画を再考することとなったが,共同研究先とのミーティングを定期的に実施しながら研究自体を遂行することはできた.
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究により,壁面プロップ型デバイスや,その基本的な制御アルゴリズムの設計については確立された.今後は,これを用いてユーザのVR空間内での移動方向や距離を操作するリダイレクション手法の確立に向け,手法の設計やアルゴリズムの実装を進めていきたい.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響により,予定していた渡航計画を延期せざるを得なかったため,旅費の使用が滞った.感染状況を鑑みながら,再計画する予定である.
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