研究課題/領域番号 |
19KK0262
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
谷本 潤 九州大学, 総合理工学研究院, 教授 (60227238)
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研究分担者 |
一ノ瀬 元喜 静岡大学, 工学部, 准教授 (70550276)
伊東 啓 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助教 (80780692)
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研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2022-03-31
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キーワード | 感染症 / 数理疫学 / ゲーム理論 / 進化生物学 / 複雑ネットワーク科学 |
研究実績の概要 |
社会的弱者である高齢者をインフルエンザ感染リスクから守る先制的予防接種の公的補助スキームにフォーカスし,最新の情報通信技術を導入することで,疾病コスト,ワクチン接種,さらに公的補助を担保する追加税負担を含めた社会総コストを,トータルに最小化する社会情報システムの基本デザインを提示する.まず,ドイツ・Max-Planck研究所/進化生物学研究所との連携の元,数理疫学と進化ゲーム理論とをマージさせたRevised Vaccination Gameの理論的枠組みを構築する.そして,感染ダイナミクス,社会ジレンマを巡る社会成員(エージェント)の意志決定機構を人工社会システム上にMulti Agent Simulation(MAS)として理論構成し,IoTにサポートされた社会情報システムが具備すべき要件を明らかにする.もって,社会物理学,情報科学,システム工学・数理疫学から構成される本邦の研究者が,応用社会生物学への展開を模索しているMax-Planck研究所と協働して,「高齢者」,「感染症」,「社会情報」をキーワードとする新たな学際研究COEを構築する. 本年度はプロジェクト2年目として,分担者の一ノ瀬(静岡大)は協力者のTraulsen教授との遠隔ベースの共同研究により,社会エージェントの社会エージェントの協調的行動の基礎ダイナミクスとそのモデル化に関する研究を進化させた.また,分担者の伊東(長崎大)はTraulsen教授との遠隔ベースの共同研究により,感染症の流行に際会して抗生剤,抗ウイルス剤の頻用が耐性菌や耐性ウイルスの発生を生む構造をゲーム論で云うところの公共財ゲームでモデル化する試みに取り組んだ.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CIVID-19の世界的流行により,前年度同様に2人の研究分担者が研究協力者のTraulsen教授(マックス・プランク研究所;ドイツ)のことで滞在型の共同研究を行い得なかった点は如何とするところである.が,ほぼ週一度のペースで頻繁に一ノ瀬-Traulsen,伊東-Traulsenさらには,両者に加えて代表者の谷本が参加する遠隔会議を濃密に実施することで,ほぼ当初計画で見込んでいた進捗が得られた.
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今後の研究の推進方策 |
2021年度も現地への在外研究を実施することは困難が予想される.2020年度同様に遠隔システムを利用した共同研究実施体制を維持するとともに,最終年度を延長するオプションにより2022年度における在外研究の可能性を含み置いた研究推進計画に微修正することを考量している.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画上,費用のかからない数値検討を前倒ししたこと.また,COVID-19の影響で出張に代わって遠隔システムによる懸鼓幽情報調査などが一部可能となった事などによる.
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