研究課題/領域番号 |
19KK0263
|
研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
田中 大祐 富山大学, 学術研究部理学系, 教授 (40360804)
|
研究分担者 |
酒徳 昭宏 富山大学, 学術研究部理学系, 講師 (20713142)
藤吉 奏 京都大学, 人間・環境学研究科, 特定助教 (20805808)
丸山 史人 広島大学, 学術・社会連携室, 教授 (30423122)
能田 淳 酪農学園大学, 獣医学群, 准教授 (70551670)
|
研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2022-03-31
|
キーワード | チリ / バイオエアロゾル / モニタリング / 細菌 / メタゲノム解析 / 大気汚染物質 |
研究実績の概要 |
本研究では南米チリの大気における病原性微生物に着目し,その地域性,経時的な種や量等の動態の把握,大気汚染物質との関連,また大気汚染物質による微生物保護作用の把握を目指している。大気微生物と大気汚染の関連について,2019年度は,大気試料のサンプリングを12月~1月(現地夏季)に行った。エアロゾルサンプリングとしては,粗大粒子PM10と微小粒子PM2.5はハイボリュームサンプラーで24時間,バイオエアロゾルは液体サイクロンエアサンプラー(コリオリスμ)で15分間大気を吸引することで採取した。これらの作業をテムコ,プンタアレーナスの2地点で行い,計6サンプルを採取した。これらのサンプルについて,メタゲノム解析(微生物群集), 化学成分分析(大気汚染物質),後方流跡線解析(気塊の移動経路)などを行い,気象データ(気温,湿度,降水量,風向,風速)も含めてサンプリング時の状況を多面的に把握する予定である。大気汚染物質による微生物への保護作用について,2019年度は,培養法で微生物(細菌,真菌)を24株単離した。そして,それらのゲノム解析や大気汚染物質が持つ微生物への保護作用を検証するために,菌株を日本に移動させる素材移転契約(Material Transfer Agreement: MTA)の締結などを進めている。また,チリの大学との学術交流に関する覚書(Memorandum of Understanding: MOU)の締結も目指している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年度は,12月に国内研究者5名全員がチリに渡航し,ラ・フロンテラ大学(テムコ)にて現地の研究者らと研究打ち合わせ,国際ミニシンポジウム,大気サンプリング,培養実験を行った。また,ロスラゴス大学(オソルノ)にて研究打ち合わせを行った。さらに,1月に他の研究でチリに滞在していた若手研究者の藤吉がマガジャネス大学(プンタアレーナス)にてサンプリングを行った。しかしながら,2月以降,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックにより国内外の移動が制限されたことが影響し,予定していたサンプリングや会合も実施できない状況が続いている。
|
今後の研究の推進方策 |
今後も定期的に大気試料のサンプリングを行うと共に,高速シークエンサーを用いたメタゲノム解析を進める。菌株を日本に移動させることが可能になったら,ゲノム解析や大気汚染物質が持つ微生物への保護作用を検証する予定である。また,チリ側研究者との日本会合がキャンセルになったかわりに,現在のところは今年10月の実施を予定している。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより,国内外の移動が制限され,サンプリングや会合が一部実施できなかったため,次年度使用額が生じた。今後,国内外の移動が可能になれば,サンプリング,会合,実験を積極的に進めて,研究費を使用する予定である。
|