研究課題/領域番号 |
19KK0264
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
勝田 長貴 岐阜大学, 教育学部, 准教授 (70377985)
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研究分担者 |
志知 幸治 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (10353715)
中川 麻悠子 東京工業大学, 地球生命研究所, 特任助教 (20647664)
長谷川 精 高知大学, 教育研究部自然科学系理工学部門, 准教授 (80551605)
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研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2024-03-31
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キーワード | 永久凍土 / モンゴル高原 / 古環境変動解析 |
研究実績の概要 |
今年度は、夏季にモンゴル高原南西部の永久凍土域の調査を実施し、追加試料の土壌、湖底堆積物、植物、水試料の採取を行った。また、モンゴル高原東部・ブイル湖の表層堆積物コアを用いた古環境変動解析を行った。この堆積物コアは、2020年3月に採取したものであり、翌年に予定していたボーリング掘削の予備調査試料であった。しかし、COVID-19でボーリング掘削は中止となり、表層堆積物コアも2022年になって輸入された。その後分析が進められた。堆積物は粘土質シルトから構成され、鉱物粒子径の結果から深度23~35 cmに上方細粒化を示すタービダイト層が含まれていた。また、この層準の過剰Pbは検出限界以下であったため、タービダイトの層準を除去した上で、区分的CRSモデルに基づき年代軸を確立した。結果、Buir-2コアは過去100年間の記録であることが明らかとなった。一方、代替試料の分析解析から、次の結果を得た。堆積物の有機物は、C/N比とd13Cの結果から、湖内の植物プランクトンに起因し、その含有量変動は、1950CE以降の気温上昇と同調する。鉱物組成分析結果は、堆積物は炭酸塩鉱物を含むことを示した。これは、水分析によって得られた、湖水の炭酸塩に対する過飽和の結果と整合する。また、堆積物中の炭酸塩含有量は、湖内生産と同様に1950CE以降に増加傾向を示し、気温上昇に伴う塩濃度の増加が示された。一方で、鉱物粒子の粒径と含有量は、1950CE以降に減少傾向を示し、1950CE以降の降水量低下に伴う流域からの砕屑物量減少によることが示唆された。また、1960CE以降のd34Sの減少は、湖内生産の増加に伴う深層水の貧酸素化を示唆する。この他に、高知大学では、花粉分析とItrax-XRFコアスキャナー解析が進められ、下流の中国北東部・内モンゴル自治区のHulu湖と同調する植生変化が認められた。
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