研究課題
新型コロナウイルス感染症の感染拡大が続く中、現地を訪問してエアロゾルサンプラの設置と試料採取を行う当初の予定に代わり、ヘルシンキ大学にサンプラの設置と試料採取を依頼することにより、フィンランド・ヒューティアラ森林フィールドステーションにおける大気エアロゾルの採取開始を目指した。ハイボリュームエアサンプラとPM0.95(粒径が0.95マイクロメータ以下の粒子)を捕集するためのフィルタ、より粗大な粒子を除去するインパクタ用基材を現地に輸送し、また、現地とのビデオ通話により、リモートでエアロゾル試料採取に関する説明を行った。そして、現地に設置されたハイボリュームエアサンプラを用いて、2022年6月より大気エアロゾル採取を開始することができた。ヒューティアラへの訪問による集中観測は実現していないが、現地の協力によるエアロゾル試料採取に切り替えたことで、当初の予定よりも幅広い季節のエアロゾル試料の採取が可能となった。この取り組みのほか、フィンランドにおけるエアロゾル採取と同じく、森林で得られた試料である、北海道大学苫小牧研究林で過去に採取された大気エアロゾル試料に対して、光吸収に関する解析を進めた。森林域におけるエアロゾルの放射影響を理解する上で、有機エアロゾルの吸湿性に加えてその光学特性に関する知見を得ることは重要であり、森林エアロゾルの放射影響を論じる上で、参考になることが期待されるデータを得ることができた。
3: やや遅れている
新型コロナウイルス感染症の状況により、計画していたヘルシンキ大学への訪問を見送る状況が続いている。
ヘルシンキ大学の協力により開始することができたヒューティアラ森林フィールドステーションにおける大気エアロゾル採取に基づく試料に対し、今後分析を進める。
フィンランド・ヒューティアラ森林フィールドステーションにおける試料採取において、十分な期間の試料が確保された時点で輸送を行い分析に移る方針としたこと、新型コロナウイルス感染症により国外渡航が難しい状況が続いており、現地訪問を見送ったなどの理由によって次年度使用額が生じている。今年度は、研究を加速するための人件費、日本-フィンランド間の輸送費、全球モデル計算のための大型計算機の使用費や、計算結果の保存等に用いるHDDの購入費などに使用する。
すべて 2021 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (4件)
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