研究課題/領域番号 |
19KK0275
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
宇野 誠一 鹿児島大学, 農水産獣医学域水産学系, 教授 (50381140)
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研究分担者 |
仲山 慶 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 講師 (80380286)
國師 恵美子 鹿児島大学, 農水産獣医学域水産学系, 助教 (90714866)
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研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2023-03-31
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キーワード | 底質毒性 / マレーシア / ジャワメダカ |
研究実績の概要 |
本研究はマレーシアにおいて海産魚であるジャワメダカ胚、および海産甲殻類のヨコエビなどを対象生物として、底質毒性評価を行うことを主たる目的とする。また、マレーシア沿岸域底質の生物多様性レベルを推し量るために環境DNAの技術を適用し、現在の多様性の違いをマレー半島東部と西部で比較することも試みる。 マレーシア西部は下水処理場が発達するが、東側は全くといって良いほど設置されてない。そのため、沿岸域底質においても東側の方が汚染が深刻で、底生生物やその生物多様性に及ぼす影響は大きいと予想される。本研究ではマレーシアでの調査を通し、マレーシア底質影響レベルの現状を明らかにすると共に、マレーシア国内に設置された下水処理場の効果を明らかにするものである。 2020~21年度は新型コロナの世界的流行の影響により、マレーシアに渡航できなかった。そのため、予定していたマレーシアでの調査や、マレーシア人共同研究者との交流は極めて限定された。また、マレーシアでも厳格な検疫体制が取られており、マレーシア人ですら国内を自由に移動することが厳しく制限されているため、共同研究者の野外における調査も全くできなかった。現状、20年度~21年度に実施する予定してた調査・研究は全く予定通りに進まなかった。メールなどで連絡を取っているが、マレーシアは日本よりも厳格な体制でコロナに臨んでおり、マレーシア人の行動も厳しく制限しているため、現状では期待されたような成果はほぼ得られていない。 共同研究者とは21年度、2ヶ月に1回程度のペースでオンラインで情報交換と研究に対するディスカッションを行った。また、日本国内でもできることは限られたが2~3年度は日本の底質における環境DNA適用の可能性の探索、そして、日本におけるジャワメダカ胚やヨコエビを初めとする数種のヨコエビを用いた底質毒性調査を重ねながら、その手法の発展を図った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年度に引き続き、2021新型コロナの影響のため、調査地であるマレーシアが外国人の入国を基本的に認めておらず、また、鹿児島大学もマレーシアが外務省の感染症危険情報レベル3に指定されていたため渡航を許可しなかった。またマレーシアでは、日本よりも遙かにコロナに対する厳戒態勢が21年度も取られており、マレーシアの大学に所属する共同研究者もマレーシア国内での行動が著しく制限されていた。そのため、申請者、分担者、協力者により担うことを予定していた野外調査とリスク評価は、20年度~21年度にかけて全く行うことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
これを書いている時点で、外務省の感染症危険情報がレベル2になり、マレーシアでの入国制限がかなり緩くなっている。そのため、現在、再度渡航に向けた日程などを調整している状況にある。このまま、コロナ禍でも渡航・行動の制限がかなり緩められる、と仮定して述べる。20~21年度の分を調査を補うために、当初予定したよりも回数を増やして、全く野外調査ができていない状況であるため、1カ所でも多く底質影響調査を進める。得られたマレーシア底質に対して、ジャワメダカ胚、海産甲殻類を用いた底質毒性影響評価を進める。また、得られた底質影響リスクを、環境DNA解析で得られた底質中生物多様性との関連性を調べ、その底質環境が生物多様性にどのような影響を与えるか、下水処理場の効果がどのように表れているかを西部、東部両地域で得られた底質について解析を実施し、検証を進める。学生の渡航を鹿児島大学が認可するのはかなり難しいと思われるため、学生を中心とした若者の交流は難しいかもしれない。そのため、このような交流は出来るのであれば進める予定、としておく。
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次年度使用額が生じた理由 |
マレーシアに渡航が叶わず、全く調査が行えなかっため、渡航費や実験のために使用するはずの研究費が使用されなかった。 22年度以降はマレーシアへの渡航が中心となる。またマレーシアでの調査が遂行され、試料が得られれば、当初予定した毒性影響評価試験や化学分析、環境DNA評価などを実施するため、これらの費用として使用する。
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