研究課題/領域番号 |
19KK0277
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
網代 広治 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (50437331)
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研究分担者 |
田中 克典 東京工業大学, 物質理工学院, 教授 (00403098)
岡山 慶太 大阪大学, 国際医工情報センター, 特任講師(常勤) (50705168)
CHANTHASET Nalinthip 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (80847129)
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研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2024-03-31
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キーワード | 生分解性高分子 / 血管 / 徐放 |
研究実績の概要 |
最終年度は、フランス側研究室と当研究室のダブルディグリー博士後期課程である学生が、2023年9月1日~2024年2月29日まで実験のためにフランス側へ派遣し、定期的にオンライン打ち合わせを行って国際共同研究を実施した。分解性高分子であるポリトリメチレンカーボネート誘導体の側鎖に、親水性置換基であるジオールとカルボキシル基の導入量を自在に制御でき、特に塩添加により物理架橋を施すことが可能という研究成果が得られ、薬物徐放制御に有効と期待される。 本研究課題は期間中に、コロナによる活動制限のため2年延長を認めていただいた。そのおかげで実質的な交流として研究代表者がフランスへ1か月間2回滞在し、ダブルディグリー学生を半年間2回派遣することができた。フランス側の研究者も1週間程度日本へ招へいし、日本側の研究設備を確認の上議論を行った。その結果、成果として以下が得られた。 期間全体の成果として、まずフランス側の有する重合触媒や反応速度制御という強みと、日本側の有する独自の分解性高分子材料の分子設計という強みが組み合わさり、新しい分解性高分子材料を作ることができた。特に反応速度を最適化することで、親水性部位を均一に高分子主鎖へ導入することが可能となった。続いて、共重合体の組成(二重結合・ジオール・カルボキシル基)の違いによって、分解挙動が異なることを明らかとした。また、薬剤の放出挙動を調べるために得られた高分子とドキソルビシン・パクリタキセル・シロスタゾールなどの薬剤との相互作用を調べ、放出挙動の違いへの影響を考察した。最後に、生体材料としての評価を行った。高分子材料を薄膜化して水滴接触角測定により親水性を観察し、タンパク質吸着実験により表面の生体適合性を評価した。さらに、動物内埋植試験を実施した。
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