基課題の研究で、これまでに取り組んできた路側拠点システムは、路側センサが通信機を持 たない道路ユーザの位置や速度を推定し、路側送信機が検知対象の代理で ISO・ETSI 標準の CAM にエンコードして協調認識メッセージを送信することで、それら道路ユーザを自動運転車の LDM へと反映させることができる。この機構を自動運転ソフトウェアの Autoware に追加したAutoC2Xをオープンソースで公開し、国際会議IEEE VTC2020-Fallにて発表した。この路側拠点を路側ネットワークで相互に接続することで、より広範な協調認知を実現する機構を国際論文誌Sensorsで発表した。さらに、この路側拠点で、自動運転システムから生成される予測経路を未来の時空間情報として管理し、排他的に走行経路を予約・調停できるアルゴリズムを提案した。Autowareを用いて提案手法を実装し、LG CorporationのSilicon Valley Lab自律走行車シミュレータで評価を行った。ブラインド交差点のシナリオで2台の車両によるシミュレーション実験を行ったところ、各車両は関係するすべての車両の行動計画を反映した経路を計画することで、安全かつ効率的に走行できることがわかった。また、路側拠点システムを導入することで、交差点での単独自律走行の場合と比較して、23.0%と28.1%の時間短縮を実現した。この成果はIEEE VTC2021-Fallにて発表した。
2021年度は、フィンランドAalto大学に渡航し、基課題をさらに発展させた。協調型自動運転の実験を高度に行うためのシミュレーションフレームワークを開発し、渡航先のTarik Taleb教授との共著である国際ジャーナルに投稿した。
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