研究実績の概要 |
様々な角度データに対応するための理論と応用を研究していくには、角度データ以外にも、通常の周期性のないデータに対応する統計的モデリングも必須である。また、これらを組み合わせたシリンダー上のデータや球面上のデータに対応するための理論的研究も必須となる。2021年度は、コロナ禍のため、予定していた海外出張はすべてキャンセルせざるを得なかった。このため、アフターコロナにおける国際共同研究をより円滑に推進できるよう、理論的研究に集中した。 概要を述べると、角度データに対する混合モデルの推測理論を完成させ(Miyata, Shiohama & Abe, 2020)、Azzalini型歪正規分布のパラメータ推定のために、陽的表現を可能とするEMアルゴリズムの提案をした(Abe, Fujisawa, Kawashima & Ley, in press)。また、角度分布では、モード不変分布に関するベイズ推定の手法を開発し(Abe, Miyata & Shiohama, in press)、Florence Nightingale Directional Statistics volumeへの寄稿を行い(Abe, Imoto, Miyata & Shiohama, in press)、海外研究者との共同研究のための基礎理論を固めていった。特にAbe, Fujisawa, Kawashima & Ley (in press)での国際共同研究の経験から、非常に広い意味でのCauchy型分布に対する単純なEMアルゴリズムの理論を準備することができた(Abe, in preparation)。これにより、当該分野で世界的に有名な研究者とコンタクトを取ることができ、アフターコロナでの国際共同研究を加速させることができると考えている。その他にも、オンラインで海外の研究者らと連絡を取り、アフターコロナでの国際会議発表についての計画を立て、その準備を進めた。
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