研究課題/領域番号 |
19KK0287
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
阿部 俊弘 法政大学, 経済学部, 教授 (70580570)
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研究期間 (年度) |
2020 – 2022
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キーワード | シリンダーモデル / 国際共同研究 / 統計的推測理論 |
研究実績の概要 |
風向風速データや、生物の移動データはそれぞれ、長さと角度を組とするデータであり、これらはシリンダー上のデータとみなすことができる。このようなデータに対応するシリンダーモデルの研究には、通常の実軸上分布と角度分布の双方の研究を発展させ、その両方からのアプローチが必要となる。本年度も、新型コロナ・ウイルスの感染拡大が治まらず、海外渡航が困難となったため、予定していた海外拠点に赴いて共同研究を進めるという計画は、延期となった。一方で日本国内において実行可能な研究活動については、進捗が見られた。ただし、感染拡大の影響は当然ながら大きく、オンラインのみでしか進めることができない、という制約が大きな足かせとなり、いくつかの困難にも直面した。 これらに対応するため、継続して研究を続けている理論や国内での協力関係も活用し、通常の統計学・角度統計学の理論的研究の洗練に注力した。また、これまでの海外の研究者との研究基盤を活用し、研究を発展させた。具体的には、昨年度の推測理論とは別の視点からCauchy型の分布に対する一般的な推測理論を考案した。特に、通常のAzzalini-Capitanio型の歪t分布とは別の新しい歪t分布を考案し、そのモデルについて単純なEMアルゴリズムを構築し、学会発表した。さらに、その理論を角度分布に適用し、新しいモデルの推測理論の構築を進めている。他にもシリンダーモデルに関連した角度モデルについて研究を進めている。論文としては、推測理論に関する国際共同研究論文が国際誌に掲載決定となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
オンラインを利用した国際共同研究や国内において実施可能な研究については進捗があったが、実データを扱う共同研究は対面の打ち合わせをしないと不可能である。海外拠点に赴いて訪問先の研究室でのディスカッションや調査を進める、という目的は、現在も収束しない新型コロナ・ウイルスの感染拡大による制約のために、困難が生じている。
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今後の研究の推進方策 |
順調に進んでいるルクセンブルグの共同研究者との研究は引き続き重点的に行っていく。フィンランドの共同研究者との研究については、実データを扱うため、現地に行く必要があるが、感染の状況に加えて国際情勢にも注意が必要な状況となってきている。現在は新型コロナ・ウイルス以外の世界情勢の不安定さもあり、さらなる困難が予想される。次年度以降、世界情勢を注意深く見極めながら、国際共同研究のさらなる進捗をさせるため、当面はリモートでの情報交換を行い、感染収束や世界情勢を考慮しながら共同を進める。
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