研究実績の概要 |
EUと東アジアのウナギ資源管理枠組みの比較研究を通じて、生態系管理(EBM)原則をウナギ属魚類の資源管理に適用することで、消費管理に留まらない包括的なウナギ資源管理を促進できるという、新しい考え方を提案した(Kaifu et al. 2021)。しかしながら、EBMは特定の種にとどまらない管理手法であることから、EBM原則をウナギ資源管理に適用するに当たっては、慎重な検討が必要とされる。そこでニホンウナギとヨーロッパウナギの国際資源管理枠組みについてさらなる検討を進めた結果、包括的な資源管理であるEBMがウナギ資源管理を改善する可能性が高いことはもちろん、包括的なシンボル種でもあるウナギ属魚類の保全は、EBMの目的である生態系と人間の関係回復にも貢献する可能性が高いことが示された(論文執筆中)。さらにこれら一連の研究において、現在のウナギ資源管理で特に大きく欠けている重要性の高いEBM原則が、「社会・生態システムの考慮」であることが特定された。これらの結果を受けて、国際共同研究加速基金(海外連携研究)へウナギに関する社会・生態システムの国際的・学際的研究課題を申請することとした。
Kaifu K, Yokouchi K, Miller MJ, Washitani I (2021) Management of glass eel fisheries is not a sufficient measure to recover a local Japanese eel population. Marine Policy, 134, 104806
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