• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2019 年度 実施状況報告書

子どもの社会的な心の国際比較に関する発達心理学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 19KK0309
研究機関神戸大学

研究代表者

林 創  神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (80437178)

研究期間 (年度) 2019 – 2021
キーワード社会性
研究実績の概要

本国際共同研究では,幼児期から児童期を対象に,状況に応じた嘘および道徳判断の両者に文化差が関連するかどうかを検討するものである。具体的には,状況に応じた嘘と道徳判断の両者が関わる課題として,先行研究を参考に課題を設定し,心の理論の発達の程度を調べる課題を合わせて実施することを検討している。その結果,日本とイギリスに共通する全体的傾向として,心の理論の発達とともに,定型的な嘘と状況に応じた嘘を区別でき,状況に応じた道徳判断ができることが見込まれる。これは文化を越えた普遍性を示すものと考えられる。さらに,日本のように包括的思考様式の文化では,比較的少ない手がかりで状況を読んだり,情報を補って把握する傾向が高いと考えられる。これに対して,西洋のように分析的思考様式の文化では,事実に注目し,その関係を論理的に考える傾向が高いと考えられる。このことから,文化差が関連し,日本の児童は,イギリスの児童よりも,嘘を寛容に考え,道徳判断で悪くないと判断する傾向が相対的に見られる場面もあると予想される。この判断の程度の差が文化的独自性を示すと考えられる。今年度は,以上についての実験・調査計画を深めた。ただし,今年度は,交付(2020年2月中旬)から年度末まで1か月半しかなかったうえに,3月に入って新型コロナウイルスの欧米での感染拡大で,イギリスの大学が閉鎖されたため,今後これらの実験・調査計画について,文化差をふまえて,課題の設定,統制の方法などをさらに検討しながら,研究を進めていくことになる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

今年度は,交付(2020年2月中旬)から年度末まで1か月半しかなかったが,3月に入って新型コロナウイルスの欧米での感染拡大で,イギリスの大学が閉鎖されたため,課題の設定などの検討が遅れることになったためである。

今後の研究の推進方策

イギリスの社会がロックダウンしている状態で,大学も閉鎖されているが,それらが解除された後,当初の目的に沿いつつ,多面的に調査を続けることで,子どもの社会性の発達について,さらに明らかにしていきたいと考えている。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件) 図書 (4件)

  • [雑誌論文] Do 5- and 6-Year-Old Children Attempt to Appear Fair to Others?2020

    • 著者名/発表者名
      Hayashi, H.
    • 雑誌名

      The Journal of Genetic Psychology

      巻: 181 ページ: 150-158

    • DOI

      10.1080/00221325.2020.1738321

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Egocentric bias in emotional understanding of children and adults2019

    • 著者名/発表者名
      Hayashi, H. & Nishikawa, M.
    • 雑誌名

      Journal of Experimental Child Psychology

      巻: 185 ページ: 224-235

    • DOI

      10.1016/j.jecp.2019.04.009

    • 査読あり
  • [学会発表] Young children attempt to appear fair to others in resource distribution2019

    • 著者名/発表者名
      Hayashi, H.
    • 学会等名
      BPS Cognitive Psychology Section & Developmental Psychology Section Joint Conference 2019
    • 国際学会
  • [学会発表] 子どもにおける意図と解釈に違いがある皮肉の理解2019

    • 著者名/発表者名
      林 創・伴佳美
    • 学会等名
      日本心理学会第83回大会
  • [図書] 教育心理学2020

    • 著者名/発表者名
      糸井尚子・上淵寿(編著)・利根川明子・柏崎秀子・林 創・近藤龍彰・中野貴博・坂本美紀・伊藤貴昭・仲真紀子・篠ヶ谷圭太・富田英司・藤野博・奥野誠一
    • 総ページ数
      189
    • 出版者
      学文社
    • ISBN
      9784762026157
  • [図書] 発達心理学2019

    • 著者名/発表者名
      下山晴彦・佐藤隆夫・本郷一夫(監修)・林 創(編著)・藤澤啓子・旦直子・篠原郁子・中道圭人・小川絢子・近藤龍彰・磯部美良・浅川淳司・山田真世・畑野快・澤田忠幸・西田裕紀子・加戸陽子
    • 総ページ数
      191
    • 出版者
      ミネルヴァ書房
    • ISBN
      9784623086221
  • [図書] 高等学校「探究的な学習」実践カリキュラム・マネジメント2019

    • 著者名/発表者名
      稲井達也(編著)・岩見理華・林 創ほか
    • 総ページ数
      159
    • 出版者
      学事出版
    • ISBN
      9784761925802
  • [図書] 道徳教育はこうすれば<もっと>おもしろい ―未来を拓く教育学と心理学のコラボレーション―2019

    • 著者名/発表者名
      荒木寿友 ・藤澤文 (編集)・荒木紀幸・西野真由美・藤原孝章・山岡雅博・山辺恵理子・武藤世良・小田亮・川本哲也・林 創・岡田有司・藤井基貴・上田仁紀・久保田笑理・堀田泰永・竹内和雄・木原一彰・幸田隆・藤原由香里・星美由紀・鈴木憲・鈴木賢一・松尾廣文・高野阿草・六車加代
    • 総ページ数
      267
    • 出版者
      北大路書房
    • ISBN
      9784762830891

URL: 

公開日: 2021-01-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi