研究課題
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))
私たちは,自分の印象を操作する自己呈示を頻繁に行っている。国際共同研究の結果,自己呈示者に対する能力と性格の評価は,児童期に大きな変化があり,自己呈示者のふだんの実力 (得意or苦手) が両者の評価に影響した。とくに,ふだん苦手な状況において,7~8歳頃を過ぎると,他者が自己高揚をしたときの方が自己卑下をしたときより,その人の性格を低く評価する様子が顕著になった。
発達心理学
本研究では,自分の本当の能力を偽って表出するという意味で,状況に応じた嘘の一つとも考えられる「自己呈示」の理解の発達について検討した点に,学術的意義があると考えられる。さらに,何かを上手く行って他者から褒められることは日常的によくあり,このとき,ふだんの自分の実力がどの程度であるかをふまえて自己呈示を行わないと,相手が抱く印象が大きく変わりうること,そのような変化は10歳頃までに顕著に見られることが明らかになった。これは教育的にも重要な知見であり,社会的意義があると考えられる。