研究課題/領域番号 |
19KK0312
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研究機関 | 國學院大學 |
研究代表者 |
安田 恵美 國學院大學, 法学部, 准教授 (90757907)
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研究期間 (年度) |
2020 – 2023
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キーワード | 社会参加 / 社会内処遇 / 施設内処遇 / ヴァルネラビリティ |
研究実績の概要 |
2022年度は、2021年度に収集したデータや資料の整理・分析作業を中心に行った。2021年に行った調査はフランス司法省の協力を得て行ったものであり、かつ公的な機関に対する調査がメインであったため、国の方針に沿った内容のデータが多くを占めていた。そこで、平行して、フランスの状況についてより多角的な視点からの検討するための情報を収集する作業も行った。 2022年8月~9月と2023年3月に渡仏し、補充調査等を実施した。具体的には、高齢受刑者処遇にかかわっている心理士等の対人援助職や弁護士等に対する高齢者犯罪・高齢受刑者の実態に関する追加のヒアリングの実施、国立図書館・大学図書館での文献収集、フランスにおいて犯罪者処遇や刑罰制度について研究をしている研究者への聞き取りを行った。また、日仏比較を行うために、日本における実態調査も行った。日本ではコロナ禍の影響により、刑事施設への参観が困難であったため、社会内処遇や刑務所出所後の支援に関わっている人・機関に調査を行った。 また、これまで行ってきた研究活動についてのアウトプット作業も始めたところである。成果としては、10月4日にオンラインで開催されたGroupe Multiprofessionnel des Prisons主催のウェビナーでの報告(Japon et France,Comparaison des dispositifs penitentiaires.)、Megumi YASUDA=Olivier VANDERSTUKKEN=Massil BENBOURICHE, Le systme penitentiaire japonais et la gestion de la delinquance au Japon (Cahier de la securite et de la justice no57)がある。これらに加えて、未公開であるが、フランス司法省に調査報告を2本(仏語)提出した。当該報告書については、若干の加筆修正をしたうえで、日本語に翻訳し、日本においての公刊を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在、データ整理・分析、補充調査、そして論文執筆等のアウトプットに向けた作業を行っている。とりわけ、補充調査について、遅れが生じている。すなわち、予定していた調査を終えることができていない状況である。日仏比較をするための日本の調査については、コロナ禍の影響により、日本国内の刑事施設への訪問ができない状況である。また、フランス調査についても、コロナ禍の影響や年金改革に対するストライキやデモの影響で予定していた刑事施設等の参観やインタビューを予定していた専門家・実務家との面会のうち実現しなかったものもある。また、3月にフランスにおいて実施した調査の一部については、フランスからの帰国時に調査メモや資料(個人情報等取扱に倫理的配慮が必要な情報は含まれない)を入れた荷物が紛失し、現段階で手元に戻ってきていない。そのため、それらを用いた研究活動には着手できていない状況である。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度中に補充調査を終了させるべく、現在調査の調整を行っている。本研究を遂行するにあたり、とりわけ重要な機関へのヒアリングを9月以降に予定している。また、アウトプットについても、現在日本語および仏語で論文執筆を進めているところである。論説にくわえて、フランスで入手した資料を日本で紹介するべく、翻訳作業等も進めている。
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