研究課題/領域番号 |
19KK0321
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
村田 周祐 鳥取大学, 地域学部, 教授 (00634221)
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研究期間 (年度) |
2020 – 2024
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キーワード | 在地化 / 西アフリカ稲作革命 / フィールドワーク / 生活知 / 超学際 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、「西アフリカ稲作革命」と呼ばれる農民自身が自力で水田開発を進めている「内発性」の内実に「在地化」という研究視点から迫ることにある。さらに、本研究のプロセスを西アフリカの多領域の研究者らと共有し、西アフリカ農民の「生活知」を軸とした超学際的(Trans-disciplinary)研究の「枠組み」を構築することにある。 上述したこれらの目的を達するために、2023年度は1年間現地に赴き、農民の「生活知」に迫るための現地調査を実施した。 具体的には、西アフリカ稲作革命を実現した調査地となるAdgyama村において、①農民の日常生活の場に没入するフィールドワークから「生活知」を社会学的接近し、②その「生活知」に関するデータの多面的理解を促すために、ガーナ国立土壌研究所、ガーナ国立作物研究所の研究者らとデータセッションの実施した。 そこから明らかとなったことは、財産の相続をめぐるAdgyama村の人びとの「事情」であった。母系社会であるアシャンティ族では、経済的に成功した未婚男性の財産をいかに適切に分与するかが、最も切実で身近な問題のひとつになっている。外部からの管理(押し付け)がなくなったことで、彼らは稲作に関わる全般を伝統的な酋長制度に基づいておこないはじめている。また、彼らと活動を共にして気づかされるのは、水田の維持管理の人選を通じて、未婚男性の資産の生前相続を潤滑におこなっている事実であった。その結果、アジア式稲作は次の世代に財産を分与するためのしくみへと組み換えられ、田園風景がアドジャマ村、そしてガーナ全域に拡がりはじめているという仮説を導き出した。 来年度は、この仮説を実証するためのデータの収集と分析枠組みの構築を探求する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウィルス感染症が沈静し、現地フィールドワークが実施可能となったため。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度8月に渡航し、アジア式稲作が次の世代に財産を分与するためのしくみへと組み換えられ、田園風景がアドジャマ村、そしてガーナ全域に拡がりはじめているという仮説を実証するためのデータの収集と分析枠組みの構築を探求する。
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