本研究プロジェクトの目的は、ヒト・モノ・カネといった経営資源の流動性の程度が、イノベーションの生成とそのコストにどのような影響を与えるのかを分析することにある。長期の国際比較研究を実証的に行う点に本プロジェクトの特徴がある。 2022年度には、4月1日~4月7日、10月26日~11月7日、2023年2月24日から3月24までHarvard Business SchoolのTom Nicholas教授との共同研究を行い、7月29日~9月12日(8月22日から29日を除く)はLondon School of EconomicsのJanet Hunter教授との共同研究を行った。 2022年度は共同研究がさらに具体的なものとなり論文化の方向性が見えてきた。より具体的には、Tom Nicholas教授とは日本の人名辞典を用いてデータベースの構築を進めてきた。これにより、日本の企業家たちの出自や移動の分析を行うことができる。データベースの基本的な項目を確定することができた。Janet Hunter教授とは、日本人の流動性の変化を分析するために、仕事観や転職についての考え方がどのように変化したのかを分析するためのデータベースづくりを開始した。また、これまで整備した特許のデータベースを用いて、スタートアップを促進するための制度であるSBIRがどのようにイノベーションに影響を与えているのかについての実証研究も進めてきた。この分析は2022年度末までにほぼ終えることができた。 2022年度には本研究プロジェクトの構想や中間的な成果の一部を含む書籍を3冊出版した。
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