研究課題/領域番号 |
19KK0330
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
横田 明美 千葉大学, 大学院社会科学研究院, 准教授 (60713469)
|
研究期間 (年度) |
2020 – 2023
|
キーワード | 行政情報法 / EUデータ保護法制 / ドイツデータ保護法制 / EU刑事司法指令 / ドイツ連邦データ保護法 / コロナ危機 |
研究実績の概要 |
昨年度に続き、日独欧データ保護法制につき、それぞれの制度変更過程を共有しつつ、議論を行う手法で研究を進めることとした。また、ドイツにおけるコロナ危機対応における情報法制の変動についてもリサーチした。 前者の成果物として、「EU刑事司法指令のドイツにおける国内法化と十分性認定」は、マインツ大学の情報法ゼミナールでの議論を踏まえつつ、日本においてあまり紹介されていないドイツのデータ保護法制の複層性・連法制を反映した分権性と刑事分野における特殊性とを踏まえつつ、立法過程の不備を具体的に指摘するかたちで詳論した。また、その過程において対日本との関係でも問題になりうる、EU刑事司法指令との関係での越境移転の問題、とりわけ十分性認定によらないかたちでの越境移転が問題視される理由とその現況を紹介した。 他方、コロナ危機対応についても、マインツ大学内での議論を踏まえる形で、『コロナ危機と立法・行政』での詳細な経緯の紹介と立法過程の分析に反映させることができた。当初予定にはなかった研究テーマであったが、マティアス・コルニルス教授や同僚を通じて適切な専門家との知遇を得ることができ、まだ文献が十分になかった段階での法案についての所見などをマインツ大学主催の研究会等で議論する機会を得た。これにより、従来の比較法研究の出版に比して非常に早い段階でドイツの立法過程を詳細に紹介する書籍を出版するに至った。 なお、在外研究期間中、日本の個人情報保護法制が大幅に改革されたため、オンラインでの研究会において、ドイツ語で日本の個人情報保護法制につき報告する機会を得て、ドイツのデータ保護法制関係者と討議する機会を得た。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
在外研究期間中に長期の図書館閉鎖とロックダウン(長距離移動不可、関係先への訪問不可)に見舞われたため、研究協力がすべてオンラインで行わざるを得なかった。そのため、当初予定していたデータ保護法制関係者へのインタビューなどは全て断念せざるを得なかった。 また、研究成果の公表についても、共同研究者のうち一名が日本への渡航を希望しており、その研究成果を公刊するという計画が進行しているが、日本入国の規制が緩和されるまで実行に移せなかったため、遅れてしまっている。
|
今後の研究の推進方策 |
共同研究者のラウラ・ドレスヒラー氏の来日が実現する見込みであり、日本国内の連携研究者との意見交換を経て、EUデータ保護法制と日本の個人情報保護法制に関連する報告を行い、日本国内において出版する予定である。 また、AIと行政の関係についても、比較法国際アカデミーでの書面による報告を検討している。 いずれにしても、コロナ危機以降大幅に渡航制限がかかってしまっているため計画の変更は避けられないが、オンラインでの研究会や学会参加等も活用しつつ、国際的な連携を深めていくこととしたい。
|