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2022 年度 実施状況報告書

農家の「質」への投資行動:エビ養殖産業の事例

研究課題

研究課題/領域番号 19KK0331
研究機関東京大学

研究代表者

鈴木 綾  東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (20537138)

研究期間 (年度) 2020 – 2023
キーワードシグナリング / 情報の非対称性 / 質への投資 / エビ養殖 / ベトナム
研究実績の概要

2022年度は、まず4月に開発経済学会の大会で、本研究で収集したデータを使って分析したエビ養殖の病気の発生の決定要因に関する論文を発表した。周辺農家の池で発生した病気や周辺農家が導入する農法が自分の池での病気発生率に与える外部性を定量的に示した。さらに導入する農法にも周辺農家からの外部性があることを示した。また最新の関連論文や計量経済学の推計手法に関して重点的に文献調査を行い、神戸で行われた実証経済学のワークショップに参加した。

新型コロナウィルス感染症の状況が改善したため、11月にベトナムでの現地調査を行った。エビ養殖農家や輸出加工業者、現地政府担当者に加え、近年設立されたVietnam Sustainable Shrimp Allianceの担当者に面会し、今後の調査や実験に関して議論した。また、エビ養殖のための水質計とアプリを開発し、ベトナムで展開し始めているインドネシアの企業とオンラインで協議を重ね、今後社会実験の実施で研究協力することで合意できた。1月から3月には、第三回目の家計調査を実施した。コロナや肥料代の高騰などで養殖から撤退した農家も多く見られたが、できる範囲で辞めた農家からも、辞めた理由や時期に関する情報を集めたので、この点についても分析を進める。

3月には、アジア農業経済学会大会でアジアの養殖業の発展に関しての招待講演を行った。また、インドネシアで収集したデータに基づいて、エビ養殖農家がSNSグループからの農業情報を利用しているかに関した論文を発表した。更に、2時点の高画質の衛星画像を使って調査対象地の養殖池の変化を分析した論文を執筆し、現在学術誌に投稿中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナ感染症拡大のため、基課題で行っている家計調査と水質計配布の社会実験の実施が遅れた。しかし、2022年後半から現地調査を再開し、第三回目の農家に対する家計調査も対面で実施できた。更に、水質計の実験も当初の計画とは違う形となるが、新たに社会実験で協力できる企業に出会うことができ、2023年度に本格的に実験を開始する予定である。

今後の研究の推進方策

まずはインドネシア企業、Vietnam Sustainable Shrimp Allianceと連携して社会実験を開始する。4月にはキックオフワークショップを現地で開催し、その後アシスタントを雇って協力農家に対して水質の測定と記録を進める。また、対象地がこれまでの調査地とは違うため、新たにベースライン調査を実施する必要がある。同時に、これまで収集したデータを分析して研究論文を執筆し、学会発表や学術誌への投稿を行う。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件、 招待講演 3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Reducing antibiotics use among smallholders: Experimental evidence from the shrimp aquaculture sector in Vietnam2023

    • 著者名/発表者名
      Suzuki Aya、Nam Vu Hoang、Lee Guenwoo
    • 雑誌名

      Aquaculture

      巻: 572 ページ: 739478~739478

    • DOI

      10.1016/j.aquaculture.2023.739478

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] 東南アジアのエビ養殖:現状と課題2023

    • 著者名/発表者名
      鈴木綾
    • 学会等名
      東大水フォーラム公開シンポジウム
    • 招待講演
  • [学会発表] Blue Revolution in Asia: The Rise of the Shrimp Sector in Vietnam and the Challenges of Disease Control2023

    • 著者名/発表者名
      Suzuki, A.
    • 学会等名
      Festschrift Workshop for Keijiro Otsuka
    • 招待講演
  • [学会発表] Fish Farming in Asia: Why the Sector Deserves More Attention from Economists2023

    • 著者名/発表者名
      Suzuki, A.
    • 学会等名
      11th Conference of the Asian Society of Agricultural Economists
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Can online communities of practice complement or substitute the conventional agricultural extension services?: Evidence from a Facebook group of shrimp farmers2023

    • 著者名/発表者名
      Lee, G.
    • 学会等名
      11th Conference of the Asian Society of Agricultural Economists
    • 国際学会
  • [学会発表] Physical Spillovers or Peer Effects? Determinants of Disease Outbreak in Shrimp Farming in Vietnam2022

    • 著者名/発表者名
      Suzuki, A.
    • 学会等名
      4th Conference of the Japanese Association for Development Economics
    • 国際学会
  • [図書] "Blue Revolution in Asia: The Rise of the Shrimp Sector in Vietnam and the Challenges of Disease Control" in Agricultural Development in Asia and Africa2022

    • 著者名/発表者名
      Suzuki, A. and V.H. Nam
    • 総ページ数
      14
    • 出版者
      Springer

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公開日: 2023-12-25  

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