研究課題/領域番号 |
19KK0335
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
伊藤 嘉余子 大阪府立大学, 人間社会システム科学研究科, 教授 (10389702)
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研究期間 (年度) |
2019 – 2021
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キーワード | スコットランド / 里親支援 / 里親 / 里親不調 / 里親ソーシャルワーク |
研究実績の概要 |
本来であれば、2020年度の9月1日から2月末までの6か月間、英国スコットランドのUniversity of Strathclyde に客員研究員として渡航予定であったが、新型コロナ感染拡大の影響によって、渡航は延期となった。また、延期中の期間に、受け入れ予定だったUniversity of Strathclyde に附置された研究機関CELCISにおける人員配置等の状況が変わったため、次年度以降も受け入れが困難と告げられた。そのため、近隣にあり、同じく社会的養護に関する研究を数多く行っているUniversity of Glasgow のHelen Minnis 教授を紹介していただき、University of Glasgow の研究チームとオンラインによる研究会を重ねてきた。その中でスコットランド政府がもつ社会的養護児童のデータの二次分析を行った大学チームの報告書を紹介いただき、この質問項目を使った日本での調査結果とスコットランドの比較や、データの中から「里親不調」「措置変更」に焦点を当てたデータだけを抜き出し分析すること等についてオンラインの研究会で検討やディスカッションを続け、2021年度に渡航後の共同研究の方向付けを試みた。 また、元来の受け入れ先だったUniversity of Strathclyde が発行する紀要「Scottish Journal of Residential Child Care」に「COVID-19 in Japan, Part 1: The impact on social foster care」と「COVID-19 in Japan, Part 2: The impact on social foster care leavers」の2本の論文を投稿し、掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本来であれば、2020年度の9月1日から2月末までの6か月間、英国スコットランドのUniversity of Strathclyde に客員研究員として渡航予定であったが、新型コロナ感染拡大の影響によって、渡航は延期となった。そのため、年度初めの段階では、予定よりは若干遅れがあったことは否めない。 しかし、University of Strathclyde から、University of Glasgow に渡航予定先が変更後、University of GlasgowのHelen Minnis 教授から積極的に研究会を企画・提案していただき、研究チームとオンラインによる研究会を重ねてくることができたため、遅れをかなり取り戻すことができたと評価もできる。この研究会を通して、次年度の研究計画を具体的にデザインすることができたことも大きな前進といえる。 具体的には、スコットランド政府がもつ社会的養護児童のデータの二次分析を行った大学チームの報告書を紹介いただき、この質問項目を使った日本での調査結果とスコットランドの比較や、データの中から「里親不調」「措置変更」に焦点を当てたデータだけを抜き出し分析すること等についてオンラインの研究会で検討やディスカッションを続け、2021年度に渡航後の共同研究の方向付けを試みた。 また、元来の受け入れ先だったUniversity of Strathclyde が発行する紀要「Scottish Journal of Residential Child Care」に「COVID-19 in Japan, Part 1: The impact on social foster care」と「COVID-19 in Japan, Part 2: The impact on social foster care leavers」の2本の論文を投稿し、掲載された。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度4月1日から10月31日まで、University of Glasgow の客員研究員として、同大学のHelen Minnis 教授と共同研究を実施する。共同研究では、大きく2つの調査研究を実施する。一つは、スコットランドにおける里親不調を含む措置変更を経験した子どもたちの支援ニーズ分析とパーマネンシープランニングとの関係性に関する質的分析である。昨年度、本研究課題の基課題である科研費で、日本における里親不調を経験した子どもの実態調査を実施した。その時の質問項目や世界共通尺度であるACEsとSDQのスコアを用いて、里親不調を防ぐためのアセスメントや委託後訪問支援のあり方等について検証を行う。もう一つは、スコットランドにおける里親育成プログラムと里親支援パッケージの比較検証である。スコットランドを含む英国内には、複数の里親支援を行う民間機関が存在する。それぞれの機関が独自に開発したプログラムやパッケージをもっており、それを各地方自治体が契約・購入する形で里親支援が展開されている。日本も今、全国の自治体に民間フォスタリング機関を設置する計画を進めている。スコットランドの複数の民間機関とそこが提供する支援パッケージを分析し、日本の里親支援に援用するための糸口を探りたいと考えている。 11月に帰国後は、在外研究の成果を踏まえ、報告書執筆にとりかかる。スコットランドの社会的養護に関する法律や制度、社会的養護下にいる子どもの数や特性などをおさえ、日本との相違点を明確にしたうえで、今後の日本における里親支援ソーシャルワークを効果的に実践するために必要な提案を研究成果を踏まえておこないたいと考えている。
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