研究課題/領域番号 |
19KK0345
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
權業 善範 東京大学, 大学院数理科学研究科, 准教授 (70634210)
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研究期間 (年度) |
2019 – 2021
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キーワード | MMP |
研究実績の概要 |
2020年度は4月から6月下旬および11月16日から2月4日までソルトレイクシティに本研究課題遂行のためユタ大学に滞在した。コロナ渦の中非常に厳しい滞在となったが、じっくり考える時間を得ることで研究的にはよかったのではないかと思っている。 具体的には次のことをホストのChristopher Hacon氏と議論した。有理連結多様体に対する対数的アバンダンス予想の研究、対数的対に対する加法性の研究、代数多様体の退化の研究を行なった。有理連結多様体の構造のコホモロジーの消滅性を用いて、多重線形系のメンバーを変形させようと言う研究である。帰国後その研究は発展して、相対的De Bois複体の研究を行うことになった。現在Christopher Hacon氏と議論を重ねドラフトはできているものの証明に間違いがないかなど をチェックしている。対数的対に対する極大変形の研究も去年より行っており、ドラフトが用意できているが詳細を確認しているところである。これが正しければ色々と応用があり、良いのではないかと思っている。代数多様体の退化の研究はレフェシェッツファイブレーションに対して、リーマン面のモジュライ空間(Deligne--Mumfordコンパクト化)を用いた研究を行ったが、こちらはまだ進行中で、どうなるかわからない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
若干、当初の予定とは違う方向に研究が進んでしまっているが、良いことが証明できているので、概ね順調であると思う。当初はよりフリップの停止に注目した研究を行う予定だったが、アバンダンス予想よりの研究となってきている。一般化されたアバンダンス予想からスケール付きのフリップの停止が従うのでこれはまったく課題研究から外れているわけではなく、むしろフリップの停止よりも先にあると思われている予想である。
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今後の研究の推進方策 |
今年度も可能ならばソルトレイクシティに滞在できればと思うが、こればかりはコロナの影響によるので見通しが立たないかと思われる。2020年度は割と無理に研究課題を遂行しようとおもい渡米したので、かなり大変だったので、今回は落ち着いてから行きたい。当初の予定していた滞在期間を完全に修正しないといけないであろうとは思っている。その中で、とりあえず2019年度、2020年度行ってきた相対的Du Bois複体の応用の研究と対数的対に対する極大変形についての研究をまとめたいと思っている。その上で、次のステップとして代数多様体の退化の研究及びその応用を行う。いつ非正規多様体で半対数的標準特異点を持つ多様体に退化できるかを研究する。これはモジュライ理論的な考察が自然であると思われる。また退化に対しての極小対数的食い違い係数の研究は半連続性の研究に他ならない。
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