研究課題/領域番号 |
19KK0346
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
伊藤 宙陛 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (60724127)
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研究期間 (年度) |
2020 – 2022
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キーワード | フェムト秒レーザー / 位相制御 / 偏光制御 / 半導体 / スピントロニクス |
研究実績の概要 |
本研究は基盤研究(C)課題番号18K03487を基課題とし、照射する光の位相と偏光状態を制御することによって固体中の伝導電子の位相とスピン状態を操作する究極的な光-キャリヤー制御を目指す試みである。この目的を設定したうえで、台湾国立成功大学における電子デバイス開発と台湾国立陽明交通大学におけるテラヘルツ波発生機構および山梨大学(代表者が東京農工大学から異動)におけるレーザー波形整形技術開発を相乗効果的に発展させる計画である。 昨年度に続き渡航禁止の状況は変わらなかったため計画の遂行はオンラインベースで情報共有しながら各研究機関でそれぞれ開発を進めた。 研究代表者は申請時所属の東京農工大学から山梨大学に赴任し新たに研究室を立ち上げた。東京農工大学、台湾国立陽明交通大学、台湾国立成功大学との共同研究開発関係は維持し、山梨大学に新たに立ち上げた研究室の主力課題として研究を進めた。 研究代表者はレーザー波形制御において、分割したレーザーパルスの位相を安定させる重要性を見出し、アクティブに位相変調を施しデータを取得する方式を開発した。さらに本課題で開発したレーザー波形整形技術を総括し「瞬時偏光を自在に設定した波形整形パルスを用いた光キャリヤーの輸送制御」というタイトルの解説記事を「光学」誌第50巻2021年12月号にて公表した。 台湾国立陽明交通大学とレーザー波形制御のオンライン技術提携を通して、テラヘルツパルスのダブルパルス化と周波数、偏光、時間間隔の独立制御機構を開発した。この成果は国際共著の論文として執筆中であり近々提出される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
渡航ができないために台湾現地におけるデバイス開発と光照射実験の繰り返しによる双方向開発は実施できていない。一方で対象物質の振動の位相や方向および周波数を自在に制御するためのテラヘルツ波の波形制御は台湾側とのオンラインミーティングを重ねることで順調に進展している。台湾国立陽明大学においてはテラヘルツ波のダブルパルス化と周波数、偏光、時間間隔の独立制御機構が完成している。東京農工大学および山梨大学においてはテラヘルツ波のダブルパルス化とその位相変調機構の開発、およびその照射効果を取得するための計測システムの開発が進められている。
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今後の研究の推進方策 |
渡航禁止解除の見通しが立たないために今後も研究開発はオンラインベースとなる。 台湾現地における電子デバイスと光制御機構の双方向開発の方針を変更し、独自に開発したテラヘルツ波の制御技術はよりその優位性実証の容易な格子振動にて実証実験を行うこととする。 渡航禁止解除のタイミングで台湾国立陽明交通大学において本研究課題の成果を公表するシンポジウムを実施する予定である。2022年度にシンポジウムが実施できない見通しであれば課題を来年度まで繰り越し実施する。
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