研究課題/領域番号 |
19KK0347
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
足立 真訓 静岡大学, 理学部, 講師 (30708392)
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研究期間 (年度) |
2021 – 2023
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キーワード | 複素解析幾何 / レビ平坦曲面 / 葉層構造論 / 量子化問題 / 多変数関数論 / 漸近解析 / ベルグマン空間 / 国際情報交換 |
研究実績の概要 |
2022年3月29日から2023年3月20日の間、ドイツ・ケルン大学に長期滞在を行い、同大学のMarinescu氏の研究グループとの共同研究を本格的に開始した。本研究の作業仮説である「Levi平坦面がコンパクト複素多様体を2つの領域に分かつ時、それぞれの領域上の正則関数のなすHilbert空間は、等価な量子力学のモデルと解釈できるのではないか」を踏まえ、問題の具体的な定式化について共同研究を行った。共同研究は、主として、Marinescu氏の研究グループのセミナー・同氏主催の研究集会において、双方が講演を行い、アイディアの交換を行う形で進めた。その結果、この作業仮説の検証のための主要な技術的な問題は、コンパクトLevi平坦多様体上のCR直線束の正則切断のなすHilbert空間や接Cauchy-Riemann作用素に関する高次コホモロジー群について、その有限・無限次元性が要求する横断可微分性にどのように依存するのか、この点の解析にある、という観察が得られた。この基礎的な課題を解決できれば、Berezin-Toeplitz 量子化の手法が応用できる可能性が高い。この基礎的な課題に関し、長期滞在中に研究代表者の従来の研究を越える成果は得られなかったが、次年度に共同研究を継続予定である。 また、長期滞在中、本研究の基課題 (若手研究18K13422) における共同研究者であるポリテクニック・オー=ド=フランス大学のSeverine Biard氏、ライプチヒ大学のJudith Brinkschulte氏との共同研究も継続し、正則接続に関する留数定理と正則葉層の安定集合への応用に関する研究を行った。本研究成果は、Biard氏、Brinkschulte氏との共著論文として学術雑誌へ投稿するとともに、プレプリントサーバにおいて公開中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症のためMarinescu氏の研究グループとの共同研究の開始が遅延していたが、2022年度より本格的に開始することができた。その結果、研究目標の達成には、より基礎的な問題の解決が必要であることが判明した。挑戦的な研究課題に対し道筋をつけられたという点では、長期滞在による共同研究の価値があったと考えるが、具体的な成果物を出せていない。やや遅れている、と判断している。
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今後の研究の推進方策 |
オンラインセミナーや短期渡航により、Marinescu氏の研究グループとの共同研究を継続する。技術的な課題に対して具体的な成果を得ることを目指す。
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