研究実績の概要 |
Hasselt大学/ベルギー自由大学(VUB)のMichel Van den Bergh氏を主要な共同研究者として、非可換代数幾何学に関する研究を行った。特に、le Bruyn-Smith-同氏によって発見された、3次元AS正則2次代数の中心拡大として得られる4次元AS正則代数およびその半古典極限対応物である3次元射影空間上のR(1,3)型Poisson構造について研究を行った。なお、これには同氏の他にIngalls(Carleton)、Sierra(Edinburgh)両氏も共同研究者として参加している。 今年度の研究の中心は、上述のPoisson構造に関するものが中心であった。我々はadmissible Poisson構造というクラスを導入し、特にこれに注目して研究を行った。これらはR(1,3)型Poisson構造のモジュライ空間の中でdenseな開集合を為す。我々の得た結果の1つは、admissible Poisson構造が射影直線のある種のGalois被覆空間(admissible coverと命名した。)と1対1対応するということである。後者は、前者のsymplectic leafになっているような3次曲面の中に含まれる直線のモジュライ空間として得られる。 次に、1つPoisson構造を固定したときに、そのsymplectic leafとして得られるPoisson構造つき3次曲面の1次元族を特定することができた。1次元族をそのadmissible coverでbase changeすることで1次元族を射影平面の特定の平面3次曲線上の6点の族と同一視することができる。一方、そのような6点族の空間からある種の重み付き射影空間へ特定の有理写像が存在することがわかる。我々は、1次元族たちがこの有理写像のファイバーに一致することを証明することに成功した。
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