研究課題
超新星爆発に伴う重力波シグナルは、数値シミュレーションを通してこれまで議論されてきた。一方で、その物理的背景を理解するために、我々は爆発後に生まれる原始中性子星における星震学の研究を進めている。特に、自転の効果がどのように超新星重力波に影響するかという点については、星震学的な立場から未だ全く議論されていない。そのため、超新星重力波を具体的な振動モードで同定するためには、簡単なモデルから徐々に現実的なモデルへと段階的な解析を行う必要がある。しかし、最終的に高速回転を伴う場合を議論するためには、そのような系での星震学の解析が必要となる。そこで、まずは高速回転する(冷たい)中性子星における振動モードを同定する数値コードの作成が必要である。本年度は、高速剛体回転する中性子星のモデル構築を行い、その上での振動解析の数値コードの作成を精力的に行なった。振動解析は、二次元の時間発展を解く必要があるが、一般的に中性子星におけるこのような解析では数値的な不安定が現れることが知られている。本件でも、同様に数値的な不安定が現れてしまったため、その除去に関して共同研究者と議論している最中である。
3: やや遅れている
コロナがひと段落したことを受け、ようやくドイツへ渡航ができた。その結果、当初予定していた、高速回転する中性子星における振動解析の議論を開始した。まずは、高速剛体回転する中性子星モデルの構築するための数値コードを作成し、共同研究者の数値結果と比較を行うことで、数値コードの妥当性を確認した。その後、このような星モデルにおける振動解析の数値コードの作成を開始した。2次元の時間発展を解く必要があるが、予期していたように数値的不安定が出現したため、現在は、その除去を共同研究者と議論している。
引き続き、2023年度もドイツへの渡航を予定している。まずは、振動解析の際に現れた数値的な不安定の除去を試みる。仮に、長時間発展を数値的に解けるようになったのなら、星内部の各地点においてフーリエ変換することで励起される各振動モードの同定を行う。一方で、より現実的なモデルとしては、差動回転する星モデルを考慮する必要がある。そこで、差動回転する中性子星モデルを構築するための数値コードを新たに作成する予定である。また、もう一つの滞在先であるアメリカへの渡航も予定している。この渡航では、外側の境界条件の妥当性を議論する予定である。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 2件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 5件)
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