研究課題
コンパクト連星系の合体に次ぐ重力波源として、超新星爆発が期待される。超新星爆発に伴う重力波シグナルは、これまで主に数値シミュレーションにより議論されてきた。これに対して、我々は、数値的に求められた重力波シグナルの背後の物理を理解するために、超新星爆発後に生まれる原始中性子星における線形解析を行っている。その結果、無回転の場合、超新星重力波は、コアバウンス後の各時刻における原始中性子星の基本振動に伴う重力波でうまく記述できることがわかった。また、超新星モデルに依存しない形で、重力波振動数を原始中性子星の平均密度で普遍的に表せることも示した。一方、原始中性子星における星震学を用いた自転を伴う超新星爆発からの重力波は、未だ議論されていない。そこで、自転を伴う原始中性子星における星震学を確立すべく議論を進めている。特に、数値シミュレーションから得られる原始中性子星はより複雑であるため、まずは、高速回転する冷たい中性子星からの重力波振動数を線形解析により求めることを目指している。そのために、2022度からドイツ訪問を繰り返し、数値コードの作成を行っている。まずは、剛体回転する中性子星モデルを構築するところから始めた。その後、得られた中性子星を背景モデルとして、星震学的に振動数を求めるための数値コードの作成を行った。高速回転を伴う中性子星における星震学では、2次元摂動方程式の時間発展を解く必要があるが、多くの場合、数値不安定性のために長時間発展を計算することは困難である。本件でも、同様の不安定性が現れたため、その不安定性を除去すべく試行錯誤を繰り返している。他方、中性子星のクラストにおける線形解析も実行した。特に、非線型結合の効果を取り入れた解析であるが、数値的不安定性もなく長時間発展が可能であることがわかった。そのため、数値不安定性を除去する鍵は中性子星中心部であると考えられる。
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