研究課題
今年度はハニカム膜の表面物性制御として、液晶ポリマーを用いたハニカム多孔質内における液晶分子の配向制御と、濡れ性制御による油水分離膜への展開をおこなった。特に後者はハニカム膜の多孔構造の孔径がサブセルラーサイズからオーバーセルラーサイズであり、細胞のスキャフォールドへの展開を考えた場合、孔径と濡れ性の制御は非常に重要なパラメータとなり得る。そこで、貫通型のハニカム多孔質膜を作製し、表面から剥離したのち、ポリエチレンテレフタラート製のメッシュ上に固定化し、UV-オゾン処理により表面を酸化することで濡れ性の制御を試みた。表面張力の低い油は基本的にUV-オゾン処理により程度の差はあるがハニカム膜内に濡れ広がるのに対し、水はUV-オゾン処理なしや短い時間の処理では高い撥水性(水滴接触角100度以上)を示した。一方、UV-オゾン処理時間を30分以上にすると、水滴の接触角はほぼ0度になり、濡れ広がることが明らかとなった。その結果、ハニカム膜を最初に濡らす液体の物性により、水と油を分離する膜となることが明らかとなった。この特性は細胞のスキャフォールドにおいても、特定のサイズ・接着性の細胞を培養・分離する技術に展開できると期待される。したがって、研究計画は順調に推移している。今年度もコロナ下の影響により渡航はできなかったが、渡航先の研究者を代表者の所属大学の教員として招聘することに成功し、具体的な研究を進めることが可能な状況が実現された。
2: おおむね順調に進展している
コロナ下の影響により渡航先での研究は進められなかったが、一方で渡航先の研究者を代表者の所属大学の教員として招聘することに成功し、具体的な研究を進めることが可能な状況が実現されたため、研究自体は問題なく進展した。
渡航先の研究者を代表者の所属大学の教員として招聘することに成功し、具体的な研究を進めることが可能な状況が実現されたため、引き続き所定の研究を継続する予定である。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)
Advanced Materials Interfaces
巻: 9 ページ: 2101954~2101954
10.1002/admi.202101954
iScience
巻: 25 ページ: 104910~104910
10.1016/j.isci.2022.104910