研究課題/領域番号 |
19KK0360
|
研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
阿部 貴美 岩手大学, 理工学部, 助教 (20786420)
|
研究期間 (年度) |
2020 – 2022
|
キーワード | 電子スピン共鳴 / シンチレーション放射線検出器 / 酸化亜鉛 / 光導電型紫外線センサ |
研究実績の概要 |
本研究では、「YAP:Ceシンチレーション放射線検出器」の開発をサスカチュワン大学との共同研究により加速し、実用化することを目的としている。当初の計画では2020年3月~2021年5月と2021年8月~10月にサスカチュワン大学に滞在し、作製したYAP:Ce放射線検出器へ放射線検出照射を行い、放射線耐性の評価を行うとともに、電子スピン共鳴(ESR)による測定・分析を行う予定であったが、COVID-19の世界的な感染拡大により断念した。 そこで今年度は、昨年度溶融塩法により作製したYAP:Ceターゲットを用いて、YAP:Ce層の作製と評価を行った。Ceの添加量によってその発光強度は異なる。昨年度までの実験で、溶融塩法によるYAP:Ce粉末での最適なCe量を決定していたが、ターゲットにしてYAP:Ce層を作製した場合でも粉末と同様のCe量が最適化を確認するため、様々なCe添加量でYAP:Ceターゲットを作製し、それを用いてYAP:Ce層を作製して発光特性を確認した。併せて、膜厚による発光強度の違いや成膜雰囲気によるYAP:Ce層の影響などを確認し、発光強度が最も強くなる条件を明らかにした。 また、光導電型ZnO-UVセンサの感度を更に高めるため、電極形状を再検討し、時間応答特性と感度をおよそ2桁ほど向上させることができた。今後はYAP:Ce層とZnO-UVセンサを組み合わせた放射線検出器を作製し、その特性を評価する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度も引き続きCOVID-19の世界的な感染拡大によりサスカチュワン大学への滞在が不可能となり、当初予定していたESRによる分析が進まなかった。ただ、本学での研究自体はおおよそ予定通りに進んでいるため、研究全体ではやや遅れていると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
2021年度はYAP:Ce層の最適な成膜条件を決定するのに時間を要し、ZnO-UVセンサとの堆積を試みることができなかった。今年度はZnO-UVセンサとYAP:Ce層の堆積を実施し、シンチレーション放射線検出器としての特性評価に注力する。YAP:Ceシンチレーション放射線検出器を搭載したデモ機の作成が今年度の目標である。 サスカチュワン大学への渡航はCOVID-19の状況次第であるが、状況次第で渡航したいと考えている。
|