研究課題/領域番号 |
19KK0361
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
野々村 拓 東北大学, 工学研究科, 准教授 (60547967)
|
研究期間 (年度) |
2019 – 2022
|
キーワード | データ駆動科学 / 超音速流 / 超時空間解像計測 / 先進計測 / 低次元モデル |
研究実績の概要 |
本年度は,コロナ感染症の状況を見ながら海外共同研究者のカリファルニア工科大学Tim Colonius教授と共同研究を行うために7月末から1月末までアメリカ合衆国へ渡航し,先方に滞在して共同研究を行った.リゾルベントコードの開発を当初行い,妥当な結果が得られることを確認した.次にTim Colonius教授のグループの数値解析データから速度場(粒子画像流速測定法の模擬)およびマイクロフォンの模擬実験データを構築し,いくつかの時空間超解像計測アルゴリズムの開発を共同でおこなった.実験データよりも多くの情報が得られるため,様々な実験の条件を検討しながらこれを進めた.まず,線形状態空間モデルが利用できるとして線形状態空間モデルをマイクロフォンと粒子画像流速測定法の結果から構築した.次にマイクロフォンの情報のみを用いてカルマンフィルタを利用した時空間構造の再構成を試みたが,その性能は高くないことがわかった.このため,再構成時にもマイクロフォンの情報に加えて,サンプリングレートの低い粒子画像流速測定法の結果も用い,カルマンフィルタおよびカルマンスムーザによって結果を再構成するフレームワークを構築した.粒子画像流速測定法のサンプリングレートにもよるがマイクロフォンのみの再構成よりも圧倒的に高い精度で再構成できることを示した.合わせてアルゴリズム中に現れるパラメータの影響を明らかにした.今後は,ここで構築したアルゴリズムを利用するための国内での実験を再設計して実施し,その結果に構築したアルゴリズムを適用する予定である.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
コロナ感染症の状況を見ながらの海外渡航だったため,当初予定の1年の渡航を半年に短縮して実施した.しかしながら,受け入れ先のTim Colonius教授との打ち合わせを対面で頻繁に行なえる機会が得られ,当初予定していた種々のアルゴリズムの開発が非常にスムーズに行うことができた.特に,状態空間モデルを利用し得られている計測結果をできるだけ利用することで,限界はあるもののこれまでよりも圧倒的に精度の良い時空間超解像計測ができることを明らかに出来たことは非常に価値が高いと考えている.
|
今後の研究の推進方策 |
コロナ感染症のため遅れていた国内での時空間超解像計測の実験への適用を実施する.特に新たに開発したアルゴリズムでは2台の粒子画像流速測定法計測装置での同時計測を実施する必要があるため,新たに実験を再設計して実施する.得られた結果に開発したアルゴリズムを適用することで,時間方向および空間方向に解像された速度場を推定する.さらに得られた結果をまとめ学術論文誌で発表していきたい.
|