研究課題
本研究では、がん診断治療の高度化に資する次世代技術を開発するため、基課題において新規に創出された新規代謝分子センサーを用いた超偏極-核磁気共鳴画像法 (HP-MRI) と、治験中の新しい放射線増感剤による化学放射線療法を組み合わせた、高精度がん診断治療技術の確立に挑戦している。本年度は、NCI/NIH への滞在を実現し、前年度の研究計画に基づいて、各種 13C 標識分子プローブの超偏極画像を取得するための諸条件を偏極機および 3 テスラ MRI を用いて検討し、モデルマウス担がんからの高感度化 NMR スペクトルや HP-MRI 画像データを取得した。また、治験中の新規放射線増感剤 SQAP を応用した前立腺がんのエックス線照射治療の治療プロトコールを検討し、実際にモデルマウスへ治療を施して、担がんの生育速度を追跡することにより治療増感効果を評価した。これにより、HP-MRI での評価に向けた基盤データを収集した。
2: おおむね順調に進展している
本研究課題の主目的であった米国 NCI/NIH への半年間滞在を実現し、国内には存在しない研究設備を利用して、HP-MRI 画像を取得するための諸条件の検討と画像データの取得に成功した。また、放射線増感剤によるエックス線照射治療についても検討し、HP-MRI 実験に向けた治療プロトコールも決定するなど、当初計画の目標をおおむね完了した。
NCI/NIH で取得したスペクトルや画像データのより詳細な解析を進める。また、これらの実験データを基盤として生化学的な手法による検証実験を実施し、画像データとの整合性を評価する。さらには、米国での経験をもとに、国内での超偏極技術の計測環境の整備を進める。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 2件、 招待講演 4件)
Translational Oncology
巻: 15 ページ: 191285
10.1016/j.tranon.2021.101285
Angewandte Chemie (International ed. in English)
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10.1002/anie.201915718