研究実績の概要 |
2020年度は海外共同研究者とともに、豪州の防犯環境設計の実践状況について、自治体、警察へのインタビュー調査、および事例調査を行う計画であった。2020年4月から、シドニー大学での研究を予定していたが、COVID-19の蔓延により渡航が制限され、数度にわたり制限免除申請を繰り返したものの、年度内の渡航は叶わず延期となった。 代わりに、英国、スペイン等の研究者と共同で、子どものActive school travel (AST: 徒歩や自転車による登下校) の実態把握のためのオンライン調査と、オンラインワークショップを行った。分析の結果、近隣のwalkability(歩きやすさ)指標のひとつである犯罪安全性の低さ、ひとりで歩く区間の存在、街頭防犯カメラの不存在、そしてCOVID-19の影響が、ASTの阻害要因であることが分かった。この結果を国際ジャーナルに投稿すべく執筆中である(2020年度末時点)。 加えて、COVID-19の緊急事態宣言下における人々の身体活動と近隣環境の関係について調査・分析した。横浜市民18,817人を対象とした縦断研究では、緊急事態宣言の6週前から前年比歩数が減り始めたこと、高齢女性は住環境の影響を受けやすく、人口密度の高い地域や駅に近い地域で歩数が減りやすかった一方で、大規模公園に近い地域では減りにくかったことが分かった。この結果は、国際ジャーナル (Health & Place) にて発表した。このほか、学生の都市活動、生活様式の変化に関する調査・分析結果は都市計画学会にて報告した。
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