研究課題
日本にはダウンバーストなどの局地的突風が雷雨日に60%強の高い確率で発生している。大きな内部空間を覆う大スパン構造は、規模が大きくなるほど、風による大振幅振動が起こりやすい。イギリスのミレニアム・ドームなど、突風による大スパン屋根被害が多く報告されている。気候変動に先駆け、記録以上の局地的突風を考慮した大スパン構造の耐風設計法を確立するため、本国際共同研究では、その最大応答を予測する手法の提案を目指す。大スパン構造を含め、建築構造物の低周波数成分が卓越しているが、既存の時間周波数解析法では、低周波数領域における精度が不足している。非線形性と非定常性の高い大スパン片持ち屋根の風応答分析のために、本年度では、以前に提案した逐次線形チャープレット変換法をさらに改良し、計算速度を5倍以上に向上させた。提案手法は、大スパン片持ち屋根の非線形非定常風応答に対して、精度よくかつリアルタイムで解析きる。特に、大変形に伴う空力剛性・空力減衰による振動数の変化を定量的に追跡できる。大スパン片持ち屋根の大変形によって、構造振動と風圧変動の連成効果を無視することができない。本年度では、オープンソースの流体解析ツールであるOpenFoamを用いて、既存研究の大スパン片持ち屋根の風連成振動を再現できた。また、準定常理論に基づいて、片持ち屋根の平均応答およびRMS値に関する評価式を提案した。さらに、大スパン片持ち屋根の空力不安定にかかわる要因および条件について連成解析より検討を行った。また、剛性が非常に小さい展開構造の動的解析も成功しており、風との連成振動は今後の課題となる。渡航期間は180日未満であるものの、定期的にオンライン打ち合わせを実施していたため、研究遂行上支障なく、研究目的を達成できた。
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Mechanical Systems and Signal Processing
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