研究課題
熱水・冷湧水や鯨骨・沈木周辺堆積物を含む深海化学合成生態系の動物種は,いつ,いかなる環境から,どのように現在の系に進出したのか? また,化学合成系外の深海,特に 6,500 m 以深の超深海において,何が種の垂直・水平分布を規定し,種分化はどのように生ずるのだろうか.申請者は基課題において,巻貝を主な対象とし,1)個々の系統における生息環境と深度分布の把握,2)系統樹構築と化石記録参照による各環境・深度への進出ルートと絶対年代の探索を行っている.また,3)初期発生様式が,異なる環境・水深・地域間の移動を規定するとの仮説のもと,幼生生態の解明を通じて化学合成系と超深海における動物の起源と進化を理解しようと試みている.そこで本国際共同研究では,1)各研究機関の深海性貝類および化石試料を大規模に解析すると共に,2)ゲノム解析と形態比較の新手法を導入し,更には 3)世界各国の第一線研究者とのネットワーク構築を進め,多角的な議論を行うことで,深海動物の進化について全球的かつ統合的な理解をめざす.研究期間の2年目である2021年度には,海外共同研究者からすでに貸与を受けている試料の形態的解析を行い,また国内外の試料について次世代シーケンサによるショットガンシーケンシングを実施した.なお当初計画では欧州の3ヶ国に計7ヶ月滞在し在外研究を行う予定であったが,コロナ感染症の影響により渡航が認められなかった.ただし,Zoom等による打ち合わせを頻繁に実施しており,方向性のすり合わせやデータの共有に大きな支障は生じていない.上記の成果の一部は2021年4月以降に7編の論文として公表した.
3: やや遅れている
新型コロナウイルス感染症に関する活動制限のため,在外研究及び海外共同研究者の招へいを一切実施できなかった.既存データの論文化については概ね予定通り実施できている.
新型コロナウイルス感染症に関する活動制限が緩和されてきており,本年7月から9月にかけてドイツへの渡航を計画中である.また,本年9月から11月にかけては海外共同研究者の招へいを検討している.研究打ち合わせに関してはこれまで通りZoom利用による会議と電子メール利用を中心として実施する.
すべて 2022 2021 その他
すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 7件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
Molecular Phylogenetics and Evolution
巻: 169 ページ: 107415~107415
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http://www.ecosystem.aori.u-tokyo.ac.jp/benthos/yasunorikano/home.html