形質転換効率における品種間差は、植物分子育種や遺伝子機能解析において解決すべき重要課題の一つである。申請者は、基課題において形質転換効率の品種間差の解消を目指し次世代型スーパーアグロバクテリウムの開発に取り組んでいる。本申請課題では、スペインのGarcia-Mas博士とHernandez博士ともに、形質転換効率における品種間差の解消を目的とし、基課題で開発した次世代型スーパーアグロバクテリウムの評価と形質転換効率の品種間差の遺伝学的解明に取り組む。 国際共同研究の研究目的:形質転換効率におけるメロン品種間差の解消 課題1複数のメロン品種を用いたスーパーアグロバクテリウムの形質転換能力の評価:基課題にて開発した次世代型スーパーアグロバクテリウム(ver.4)の形質転換能力の評価には、遺伝的背景が多様で様々な形質を持つ作物種を用いるのが適している。基課題で作出した次世代型スーパーアグロバクテリウムを評価し効果がないことが確認できた。形質転換は、遺伝子導入と再分化の過程からなるが、メロンは遺伝子導入は問題なく起こっていることから再分化に品種間差があると予測できた。 課題2形質転換効率におけるメロン品種間差に関する遺伝子の探索:形質転換効率の品種間差の解消を目指すには、品種間差に関連する植物側の遺伝的要因を明らかにする必要がある。メロンには多くの亜種が存在し遺伝的多様性が大きい。共同研究先では、これら集団の中から、形質転換効率のかなり低いメロン品種Piel de Sapと形質転換効率の高い品種Vednrantaisを見出しており、Piel de Sapoの染色体の一部をVedrantaisで置換したイントログレッション系統が38系統作出されている。また、予備的試験から、Piel de Sapoの再分化に関連する遺伝子領域について、候補がいくつか上がっている。
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