研究実績の概要 |
2022年2月から2023年1月まで共同研究先のバルセロナ自治州大学・Centre for research in Agricultural Genomicsに滞在し、課題を実施した。 本研究の目的は、形質転換の品種間差に関わる遺伝的要因の探索である。メロンは形質転換効率が低い作物であり、日本で一般的に栽培されているアールス系(変種, varaiety:reticulatus)や、スペインの代表的な品種である'Piel de Sapo' (変種, varaiety:inodrus)では形質転換が難しいことが経験的にわかっていた。一方で、フランスの品種である"Vedrantais"(変種, varaiety:cantaloup)では形質転換が可能であることが共同研究グループの先行研究からわかっていた。本研究では、'Piel de Sapo'へ'Vedramtais'の染色体断片を挿入した染色体置換系統群をもちい、形質転換効率に関連する遺伝的要因の探索を実施する。メロンは12の染色が存在する。R4年度は、各染色体において'Vedrantais'の置換範囲がもっと広い系統をそれぞれ選んで調査した。 最初の6ヶ月間では、メロンの形質転換に用いるベクターの構築、メロンの形質転換法法のプロトコルの整備、形質転換効率の算出方法、ジェノタイピング方法などの技術の習得に取り組んだ。残りの半年で'Vedrantais'での置換範囲が最も大きい染色体置換系統群の14系統について形質転換効率を調査した。 その結果、'Piel de Sapo'バックグラウンドのにも関わらず、8番染色体が'Vedrantais'で置換された系統において形質転換が可能であり、その効率は'Vedrantais'とほぼ同等であることがわかった。
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