• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2021 年度 実施状況報告書

植物におけるストリゴラクトン生合成及びその調節機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19KK0395
研究機関愛媛大学

研究代表者

米山 香織  愛媛大学, 農学研究科, 准教授 (20769997)

研究期間 (年度) 2020 – 2022
キーワードストリゴラクトン
研究実績の概要

ストリゴラクトンは、植物の生長・分化を制御する、農業生産においても注目度が高い、極めて重要な二次代謝産物である。本研究では、多様なストリゴラクトンの機能のうち、地上部枝分かれ抑制活性に着目して、シロイヌナズナのストリゴラクトン生合成経路の全貌及び活性本体、更にその調節機構の解明を目指す。申請者はこれまでに、シロイヌナズナの新奇ストリゴラクトン生合成関連遺伝子として単離した、2-オキソグルタル酸依存性ジオキシゲナーゼをコードしているLATERAL BRANCHING OXIDOREDUCTASE (LBO)の酵素機能を明らかにした。一方、シロイヌナズナの地上部枝分かれ抑制活性本体の生成には、LBO以外の酵素が関与している可能性が示唆された。海外共同研究者であるDavid Nelson准教授(米国・カリフォルニア大学)によると、分子系統解析から、シロイヌナズナには、LBOに近接したクレードに機能未知の4つのジオキシゲナーゼが存在し、そのうち2つは、ストリゴラクトンの主要な生合成部位である根で強く発現している。そこで国内では大腸菌発現系を用いて新奇ジオキシゲナーゼの酵素機能を明らかにすることにした。
本年度は、養分欠乏や概日リズムがシロイヌナズナのストリゴラクトン生産に与える影響を精査した。共同研究者によって、CRISPR/Cas9を用いたゲノム編集技術により4つのLBOホモログのシロイヌナズナ変異体、さらにオオムギのlbo変異体が作出され、これらの地上部枝分かれ表現型調査及びストリゴラクトンの同定・定量を進めた。2月中旬からはUniversity of California, Riverside校のDavid Nelson博士の研究室で、これまで得られたRNA-seqデータの解析を行い、新規ストリゴラクトン生合成遺伝子の単離を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

養分欠乏のうち特に窒素欠乏が、また1日のうち朝(明条件開始3時間以内)がシロイヌナズナのストリゴラクトン生合成遺伝子の発現を顕著に促進し、地上部基部および地下部のcarlactoneおよびmethyl carlactonoate内生量を増加させた。この時、すでに同定されている他のストリゴラクトンは検出することができなかったため、現在、再検討を行っている。また、現在所有しているシロイヌナズナCol-0では、リン酸がない条件で栽培してもリン欠乏症状を有するナズナを作出することができず、リン酸欠乏条件下で培養した個体から採種を繰り返している。
共同研究者によって、CRISPR/Cas9を用いたゲノム編集技術により4つのLBOホモログのシロイヌナズナ変異体が作出された。現在は地上部枝分かれ表現型を詳細に検討している。また同様な方法で、オオムギlbo変異体が作出されたため、根から分泌される主要なストリゴラクトンを調べたところ、それらのストリゴラクトンの分泌は減少していなかった。すなわち、根から分泌されるオオムギのストリゴラクトン生成にはHvLBOは関与していないことが示唆された。
2月中旬からはUniversity of California, Riverside校のDavid Nelson博士の研究室に客員研究員として滞在している。CRISPR/Cas9を用いたゲノム編集技術によりシロイヌナズナの変異体を作出する予定であったがこれを変更し、これまでイネ、ダイズ、トウモロコシを用いたRNA-seq解析したデータを解析し、ストリゴラクトン生合成遺伝子から、その生合成分泌調節に関与するハブ遺伝子などの単離を行っている。

今後の研究の推進方策

米国では、日本の1/2の値段で行うことができるRNA-seqを行い、新規ストリゴラクトン生合成遺伝子の単離を目指すことにした。同時に受容・シグナル伝達メカニズム解析も進める。また、多様なストリゴラクトンの生合成の鍵であると示唆されているCYP722Cと、様々な植物種から同定した多様なストリゴラクトンの分布の相関性を解析する予定である。さらには、ストリゴラクトン受容体ホモログであるKAI2のリガンド探索も行う。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 4件)

  • [雑誌論文] Germination Stimulant Activity of Isothiocyanates on Phelipanche spp.2022

    • 著者名/発表者名
      Miura Hinako、Ochi Ryota、Nishiwaki Hisashi、Yamauchi Satoshi、Xie Xiaonan、Nakamura Hidemitsu、Yoneyama Koichi、Yoneyama Kaori
    • 雑誌名

      Plants

      巻: 11 ページ: 606~606

    • DOI

      10.3390/plants11050606

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Strigolactone biosynthesis catalyzed by cytochrome P450 and sulfotransferase in sorghum2021

    • 著者名/発表者名
      Yoda Akiyoshi、Mori Narumi、Akiyama Kohki、Kikuchi Mayu、Xie Xiaonan、Miura Kenji、Yoneyama Kaori、Sato‐Izawa Kanna、Yamaguchi Shinjiro、Yoneyama Koichi、Nelson David C.、Nomura Takahito
    • 雑誌名

      New Phytologist

      巻: 232 ページ: 1999~2010

    • DOI

      10.1111/nph.17737

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Strigolactones, how are they synthesized to regulate plant growth and development?2021

    • 著者名/発表者名
      Yoneyama Kaori、Brewer Philip B
    • 雑誌名

      Current Opinion in Plant Biology

      巻: 63 ページ: 102072~102072

    • DOI

      10.1016/j.pbi.2021.102072

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Structure activity relationship of the aromatic moiety of 6-substituted 5,6-dihydro-2H-pyran-2-one to find the novel compound showing higher plant growth inhibitory activity2021

    • 著者名/発表者名
      Ochi Ryota、Yoneyama Kaori、Nishiwaki Hisashi、Yamauchi Satoshi
    • 雑誌名

      Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry

      巻: 86 ページ: 165~169

    • DOI

      10.1093/bbb/zbab185

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ストリゴラクトン生合成経路と地上部枝分かれ抑制活性本体の解明-地上部枝分かれ抑制活性本体を追え-2021

    • 著者名/発表者名
      米山 香織
    • 雑誌名

      Japanese Journal of Pesticide Science

      巻: 46 ページ: 177~178

    • DOI

      10.1584/jpestics.W21-16

  • [学会発表] ストリゴラクトン生産・分泌の環境応答2021

    • 著者名/発表者名
      米山香織
    • 学会等名
      日本植物生理学会
    • 招待講演
  • [学会発表] 根圏に分泌されるストリゴラクトンの新たな機能とその分泌制御メカニズム2021

    • 著者名/発表者名
      米山香織
    • 学会等名
      日本植物学会第85回大会
    • 招待講演
  • [学会発表] The Possibility of Strigolactones for Plant-Plant Communication2021

    • 著者名/発表者名
      Kaori Yoneyama
    • 学会等名
      3rd International Congress on Strigolactones
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Strigolactones, how are they synthesized to regulate plant growth and development?2021

    • 著者名/発表者名
      Kaori Yoneyama
    • 学会等名
      IRN France-Japan Frontiers in Plant Biology on “Photosynthesis and Metabolism”
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] イソチオシアネートによる根寄生雑草の発芽刺激活性2021

    • 著者名/発表者名
      三浦妃奈子、米山香織
    • 学会等名
      日本農芸化学会西日本・中四国・関西支部 2021年度合同大会

URL: 

公開日: 2022-12-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi