研究実績の概要 |
ストリゴラクトンは、植物の生長・分化を制御する、農業生産においても注目度が高い、極めて重要な二次代謝産物である。本研究では、多様なストリゴラクトンの機能のうち、地上部枝分かれ抑制活性に着目して、シロイヌナズナのストリゴラクトン生合成経路の全貌及び活性本体、更にその調節機構の解明を目指している。本年度は、本制度を利用して2022年度に滞在したUniversity of California, Riverside(米国)との共同研究の一つである、トマトなどで報告された新奇SL生合成遺伝子CYP722Cのevolutionary predecessorであるCYP722A は、CLAから16-OH-CLAへの変換に関与することをScienceに投稿した。現在Major revisionで対応中である。 また、UCR滞在中にSALK から取り寄せgenotypingでホモ個体選抜を行った4つの新奇SL生合成遺伝子候補であるシロイヌナズナ変異体のうち、At5g20400欠損変異体は、WTと比較し地上部枝分かれが増加することを確認した。ただしこの枝分かれ促進の表現型は、窒素欠乏条件下ではWTとの差がほとんど認められないことがわかった。既知のSL生合成遺伝子の発現レベルは、地上部基部において窒素欠乏により促進されるが、4つの新奇SL生合成遺伝子候補のうち、At5g20400のみが共に促進されることを確認した。 さらに、密植条件下やポット容量の制限で誘導される枝分かれ抑制メカニズムの解明について共同研究を行っているUniversity of Leeds (英国)のTom Bennett博士の研究室を訪問し、実際にどのような条件下で密植条件やポット容量の制限を行っているのかを見学し、詳細な方法を伝授してもらった。
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