2020年9月から11月に1回目の渡航・共同研究を予定していたが、コロナウイルス感染拡大の影響により、渡航を2021年度以降に延期した。代わりに、日本国内で可能な研究を実施し、農業の持続可能性評価機能のついた「6次産業化シミュレーターバージョン2」を開発、著作権登録を行なった。これに関連し、論文投稿(審査中)1件、学会報告(予定)1件、論文投稿(予定)1件の成果を出した。 農業の持続可能性は、「6次産業化シミュレーターバージョン2」において、6次産業化の取組の中で農業がどれくらい寄与しているかを現す、A-Scoreという定量的評価機能により評価する。このA-Scoreは、「0」から「1」ないし測定不能を意味する「α」の値を取る。この値が大きいほど、ある取組の売上のうち、農産物由来の売上ないし利益が多いことを示す。つまり、A-Scoreが大きいほど、ある取組から得られた経済効果のうち農業に還元される部分が多く、この取組が農業の持続可能性により寄与していることを意味する。ただし、A-Scoreが「1」ないし「α」の場合には、評価対象の6次産業化の取組では、加工や販売などによって、新しい価値が生じるどころか、赤字の状態であることを表している。 その他、渡航後すみやかに共同研究に取り組める様に、農業の持続可能性に関する理論的整理や文献整理、他の農業の持続可能性評価手法の整理等、準備をすすめた。
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