研究実績の概要 |
カナダ・ブリティッシュコロンビア大学経営学部のAnnamma Joy教授とオカナガンバレーのオーガニックワインの付加価値形成について共同研究を実施した。 世界的に見ると、耕地面積の全体の1.6%が有機であり(FiBl, 2022)、ワイン用ブドウに関して言えば耕地面積の6.2%が有機である (International Organization of Vine and Wine, 2021)。ワイン用ブドウについてはオカナガンバレーの有機割合は30%であり、そのほとんどが地域内で消費されている。そのため、オカナガンバレーのワイン用ブドウとワインを事例とし、LASTSとICI C Localを用いた農業の持続可能性評価法の開発に取り組んでいる。 オカナガンバレーにあるワイナリー約300件のうち約10%がオーガニックに取り組んでいる。そのうち11件のオーガニックワイナリーと、10件の慣行農法でブドウを育てているワイナリーに対して対面方式でアンケートを実施した。その結果、有機栽培には2004年前後から取り組むワイナリーが多数を占めること、オーガニックワイナリーの試飲料金はそれ以外のワイナリーの試飲料金よりも2倍近く高いこと、一方で、ワイン用ブドウの価格はオーガニックも非オーガニックも有意な差がないこと、同様にワイン価格もオーガニックと非オーガニック間で有意な差がないことを明らかにした。 オカナガンバレーはワインツーリズムで有名な地域であり、毎年夏には大勢の観光客が訪れる。また、先に述べた通りオカナガンバレーのワインはほとんどが地域内消費されており、地域外での入手が難しい。そのため、オカナガンバレーのワイン用ブドウ栽培の高い有機率は、ツーリズムと強い関係があると考えられる。2024年度は、ツーリズムとオーガニック化に注目した研究を継続する。
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