研究課題
がん細胞が持つ代謝のリプログラミング様式を明らかとし、そこを応用して実際に生体内で起こるリプログラミングの実態を解明することが大きな目標である。本研究では特に、がんで優位にはたらくと考えられている解糖系を抑制した際のミトコンドリアを中心とした代謝に着目している。解糖系の抑制は分子標的薬を含めた様々な状況下で起こるため、その理解や病態に与える影響など広く検討を行っている。代謝のリプログラミングに伴うミトコンドリア活性の評価系を構築するために、渡航や渡航先研究室学生の受け入れを通して国際共同研究を進め、種々の結果を得た。膵がん細胞においては、解糖系の抑制時にミトコンドリア機能の賦活化やそれに伴う脂肪酸代謝の亢進などが認められ、特にそこにはリポファジーが深く関与していることも見出した。この成果は、国際共著論文として国際誌に発表した。さらに、心筋におけるミトコンドリア機能とSIRTの関係についてもノックアウト細胞の構築など含めて検討を進め、興味深い結果を得つつある。解糖系の抑制に伴ってマイトファジーが亢進することもに見出してきたが、メカニズム的な解析はまだ途中であり、今後、代謝リプログラミングに関与する可能性のあるがん特異的因子の探索も進めていくことで、治療戦略の立案やがんイメージング研究へと応用させたいとも考えている。併せて、分子標的薬治療に伴う代謝リプログラミングとミトコンドリア機能との関係についても種々のがん種を用いて理解を深めていきたい。
3: やや遅れている
研究開始当初の渡航制限や渡航先での受け入れ体制の問題等により遅れが発生したが、国際共同研究としては順調に展開できており、成果も得ている。
代謝リプログラミングを中心に、がん特異的な因子の解析等から、治療戦略の立案やイメージングに向けた研究をより進展させる。
すべて 2024 2023
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
Molecular and Cellular Endocrinology
巻: 586 ページ: 112196~112196
10.1016/j.mce.2024.112196
Cell Death Discovery
巻: 10 ページ: 1~13