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2022 年度 実施状況報告書

脳血管指向型の複合型脳アミロイドアンギオパチー掃討治療の開発

研究課題

研究課題/領域番号 19KK0410
研究機関熊本大学

研究代表者

井上 泰輝  熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 特定研究員 (00806408)

研究期間 (年度) 2020 – 2023
キーワード脳アミロイド血管症 / アミロイドβ / アミロイドーシス / 脳出血 / 認知症
研究実績の概要

申請者はα-エノラーゼ (ENO1) をCAA/ADトランスジェニックマウスの脳実質内へ注入ポンプを用いて持続投与するモデルを作成し、その症例数を増やし、さらに生化学的解析、行動解析を行った。ENO1投与群において脳血管、脳実質へのAβの沈着が減少し、不溶性分画のAβ40と42が有意差をもって減少した。Y迷路試験ではENO1投与群において、空間作業記憶が改善した。ENO1の作用機序として、投与群におけるAβモノマーが減少したことから、Aβの重合開始を阻害することで、引き続く線維化を阻害することを想定した。アミロイドβ前駆体タンパク質であるAPPやその代謝過程における産物にはENO1投与群と非投与群では差がなく、ENO1がAβの産生経路に影響を与える可能性は低いと考えた。同時にCAA/ADトランスジェニックマウスの脳実質では、ENO1がニトロシル化されていることを確認し、ENO1の酵素活性はニトロシル化により減弱することもin vitroで確認した。そこで、ENO1の酵素活性がAβの分解に関与するとの仮説を立て、次に熱処理により酵素を失活させたENO1を注入ポンプで脳内に投与したところ、Aβの沈着は減少せず、空間作業記憶も改善しなかった。本結果は、ENO1がCAA/ADの進行過程においてニトロシル化され、酵素活性が減少する。結果、ENO1によるAβの分解作用が減弱し、CAA/ADの進行に寄与する可能性を示した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

査読付きの論文に受理されたことから上記内容とした。

今後の研究の推進方策

今後は、バイオマーカーの有用性を検証すべく、多数例のCSF、Plasma、凍結脳標本を用いて、ENO1の濃度を測定し、病期別、重症度別に測定を行ってゆく方針とする。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] α-Enolase reduces cerebrovascular Aβ deposits by protecting Aβ amyloid formation2022

    • 著者名/発表者名
      Inoue Yasuteru、Tasaki Masayoshi、Masuda Teruaki、Misumi Yohei、Nomura Toshiya、Ando Yukio、Ueda Mitsuharu
    • 雑誌名

      Cellular and Molecular Life Sciences

      巻: 79 ページ: 462-462

    • DOI

      10.1007/s00018-022-04493-x

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Reversible Periventricular Hyperintensity Lesions in Cerebral Amyloid Angiopathy: A Case Mimicking Cerebral Amyloid Angiopathy-related Inflammation2022

    • 著者名/発表者名
      Inoue Yasuteru、Nakajima Makoto、Inatomi Yuichiro、Masuda Teruaki、Misumi Yohei、Nomura Toshiya、Uetani Hiroyuki、Hirai Toshinori、Ueda Mitsuharu
    • 雑誌名

      Internal Medicine

      巻: 61 ページ: 3581~3584

    • DOI

      10.2169/internalmedicine.8630-21

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Cutting-Edge Therapeutic Approaches to Cerebral Amyloid Angiopathy2022

    • 著者名/発表者名
      Yasuteru Inoue
    • 学会等名
      8th International Cerebral Amyloid Angiopathy (CAA) Conference
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2023-12-25  

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