研究実績の概要 |
大腸癌は本邦を含め、全世界的に増加傾向であり根本的な対策である一次予防(健康増進/疾病予防)が求められている。基課題の『オルガノイドを用いた大腸腫瘍化学予防効果の網羅的解析システムの確立』では、新規培養技術であるオルガノイドを用いて、大腸癌の発癌段階をオルガノイドで再現し、化学予防薬がどのように抗腫瘍効果を発揮するのかを網羅的に解析するシステムの開発を行うことを目標に既に実験を進めている。 我々はこれまでメトホルミンを用いて大腸発癌予防研究をin vitro, in vivo, 臨床研究と様々な面から検討してきたが、欧米では古くからアスピリンを用いた化学予防が検討されている。メトホルミン、アスピリンともに化学予防効果は認められるが、単剤では予防効果がそれほど強くはないといった弱点があるため抗腫瘍効果を示す機序の異なる複数の薬剤を組み合わせて使用することで、副作用を最小化し目的の効果を最大化できると考えている。 そこで本国際共同研究では、以前より我々が検討してきたメトホルミンの知見と、HMS, MGHの Andrew T. Chan教授らが以前より研究しているアスピリンの知見を組み合わせることにより、基課題を更に発展させ新しい大腸腫瘍の化学予防を開発することを目標として研究をおこなった。 代表者はHarvard medical school/Massachusetts general hospitalで、ヒト由来の大腸オルガノイドを用いて、アスピリンを用いた化学予防の実験を行った。PGE2濃度、PTGS1、PTGS2の遺伝子発現をエンドポイントとし、アスピリンの至適投与時間、投与濃度を明らかにした。
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