研究課題/領域番号 |
19KK0413
|
研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
中竹 利知 関西医科大学, 医学部, 助教 (40779401)
|
研究期間 (年度) |
2021 – 2023
|
キーワード | センスオリゴヌクレオチド / 核酸医薬 / 敗血症 / 虚血再灌流障害 / iNOS / 一酸化窒素 |
研究実績の概要 |
敗血症(1)初代培養ラット肝細胞および敗血症ラットモデルを用いたSO1の改良:SO1に、新たな難分解性の化学修飾や肝細胞に取り込まれやすい化学修飾した改良型を作成した。初代培養ラット肝細胞を用いて炎症刺激によるiNOS mRNA誘導の阻害が効率化されるか検討し、改良型SO1はiNOS mRNA発現レベルをSO1より低下させた。(2)既存の別機序による抗炎症効果のある薬物とSO1との併用効果の検討:敗血症モデルラットに対して、SO1と遺伝子組換えトロンボモジュリン製剤(rTM)の併用による生存率への影響等を調べ、併用療法による生存率の上昇を確認した。抗炎症効果に対する詳細な解析を現在行っている(3)新規センスオリゴの開発:GalN/LPSおよびPH/LPSモデルラットの肝臓のmRNAのマイクロアレイ解析を行い、IL-1シグナル伝達系のセンスオリゴを見出した。センスオリゴを肝切除後敗血症モデルラットへ投与すると、生存延長効果を認めた。 虚血再灌流障害(4)肝虚血再灌流障害+肝切除モデル:ラットの肝流入血流遮断後、肝部分切除を行ってから再灌流し肝障害を誘導した。条件検討で得た複数の血流遮断時間と再灌流時間の条件下の肝臓サンプルのTotal RNAについて網羅的mRNA発現のマイクロアレイ解析を実施した。発現変動の大きい遺伝子を選出し、それら遺伝子のアンチセンス転写物の有無を確認し、センスオリゴを設計した。(5)Isolated Perfused Rat Liver装置を用いた肝移植モデル:ドナー肝を臓器保存液に浸して一定時間保存し、その門脈にiNOSのセンスオリゴを投与した。肝臓へ生理的緩衝液を灌流させて冷虚血再灌流障害を誘導し、臓器と灌流緩衝液を採取した。臓器における遺伝子発現や、灌流緩衝液への肝逸脱酵素活性を測定することで、iNOSセンスオリゴの肝保護作用について解析を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
iNOSセンスオリゴSO1の改良に対し、肝細胞に取り込まれやすく化学修飾した改良型を作成すること、そして「生存率をさらに上げる遺伝子」のmRNAをターゲットとした新規センスオリゴの開発に関して、新たな修飾や遺伝子の同定に対して時間が必要であった。現状予定通り進んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
(1)敗血症モデルラットを用いて、改良型SO1による肝保護効果の改善を確認する。 (2)(3) 病理学検査などの、抗炎症効果に対する詳細な解析を行っていく。 (4)iNOS遺伝子発現の誘導を指標に、虚血時間と再灌流後サンプリングまでの時間を決定しモデルを確立できた。温肝虚血再灌流障害において、iNOSセンスオリゴによるiNOS アンチセンス転写物への影響や肝保護効果を明らかにすることにより、iNOS アンチセンス転写物の温肝虚血再灌流障害の役割の解明を目指す。(5)iNOSのセンスオリゴ投与後の肝臓における遺伝子発現や灌流緩衝液において肝細胞障害を示す逸脱酵素活性などを測定することにより、iNOSセンスオリゴの肝保護効果の解析を進めている。
|