現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)昨年度行った難分解性の修飾の改良に加えて、肝臓への移行性を強化する化学修飾を行った改良型SO1を作成した。現在ラット敗血症モデルにおける効果検討を行っている。(2)ヒト敗血症領域で、汎発性血管内血液凝固症に対して使用される遺伝子組換えトロンボモジュリン製剤(rTM)とSO1の併用効果を検討し、異なる機序での効果を確認した(Shock, 2023)。(3)新たな遺伝子(IL-1関連)を阻害するセンスオリゴを設計した。敗血症モデルラット(肝切除後敗血症モデル)にセンスオリゴ投与した効果検討を行い、有意な改善を認めた。盲腸結紮穿刺(CLP)による腹膜炎敗血症モデルにおいても改善を認めている。現在ヒトへの応用を目標として、センスオリゴのヒト配列化を行っている。(4)肝虚血再灌流障害+肝切除モデルラットでは血中の肝逸脱酵素活性やNO量が増加し、肝組織の炎症関連遺伝子発現が上昇するが、iNOS アンチセンス転写物発現を抑制する生薬主要成分や機能性食品により抑制された(Int J Mol Sci, 2024; Nutrients, 2024; Mol Biol Rep, in press)、現在改良型SO1の効果検討を行っている。また昨年度行ったモデルラットの肝臓サンプルにおいて、mRNAマイクロアレイを用いてmRNA発現を網羅的に解析した結果、血管拡張や炎症、免疫抑制に関わる物質の代謝経路を構成する遺伝子発現が変動していた。そのため、代謝経路の律速酵素遺伝子Aに着目した。ラット初代培養肝細胞では、Aのアンチセンス転写物が発現しており、Aに対するセンスオリゴXを設計してAの発現制御を検討した。また、PM+PHモデルではmRNA発現が誘導されており、センスオリゴXを投与して肝保護作用の解析を進めている。
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