研究課題
本国際共同研究では、高度なクロマチン構造解析を可能とし、癌ウイルス感染に伴うゲノムワイドなクロマチン構造変化を詳細に同定する。対象を癌ウイルス感染による胃癌だけでなく、胃癌全体に拡大し、胃癌におけるエピゲノム異常及びクロマチン構造異常を統合的に解析することにより、胃癌の各分子サブタイプとエピゲノム異常、クロマチン構造異常との関連を明らかにし、胃癌の癌化・癌悪性化メカニズムを解明する。これまでに、胃正常上皮細胞株2例、胃癌細胞株15例を用いてHi-C法によるクロマチン構造解析を行い、クロマチン構造変化による層別化を行った。これにより、Epstein-Barrウイルス(EBV)陽性胃癌特異的なコンパートメント構造変化を同定した。更にEBV陰性胃癌についても更にクロマチン構造変化で2群に分かれることを明らかにした。更に、胃癌臨床検体について、EBV陰性胃癌サンプル1例、EBV陽性胃癌サンプル1例についてもHi-C法を行い、解析を進めている。また、コンパートメントに加え、ゲノム上の各領域において構造的仕切りの強さ(Insulation score)や相互作用の頻度(interaction frequency)といった数値を計算し、ゲノム領域の構造的特性の評価と細胞間、胃癌サブタイプ間の違いについて解析を進めている。胃癌におけるこれまでのゲノム異常のデータから高頻度での変異が報告されているARID1aやMSH2について、共同研究としてノックアウト細胞の樹立とHi-C法によるクロマチン構造のデータを取得・解析を進めた。この共同研究については、現在論文投稿中である。
3: やや遅れている
型コロナウイルスの世界的蔓延により、現時点で渡航が難しく、渡航時期の目途も立っていない。新型コロナの状況が改善し次第、渡航を行いたい。しかしながら、可能な範囲で国際共同研究を進めるため、国内で取得可能なデータについて取得を進めている。また、Zoomによるweb会議によりディスカッションを進め、データ解析についても進めている。
コロナ禍によって渡航が困難であったため、国内でのデータ取得を進め、更にweb会議でのディスカッションによるデータ解析を進めている。今後の研究の方向性として、クロマチン構造変化により層別化された胃癌サブタイプごとに特徴的に変化しているゲノム領域の抽出と、これまでの共同研究により得られたエピゲノムデータを統合解析を進め、クロマチン構造異常誘導機構の解明につなげたい。更に、胃癌において高頻度な変異が報告されているARID1aなどのエピゲノム・クロマチン構造関連因子についてノックアウトによるクロマチン構造異常、エピゲノム異常を統合解析し、癌化メカニズムの理解につなげていきたい。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
Cancer Letters
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