研究課題/領域番号 |
19KK0417
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
古藤田 眞和 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (30530133)
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研究期間 (年度) |
2020 – 2022
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キーワード | アミオダロン / 鎮痛 |
研究実績の概要 |
アミオダロンの鎮痛作用および感覚神経選択性を検証するため、アミオダロン・多イオンチャネル阻害作用を持つ関連薬数種を使用し、複数の疼痛モデル(紫外線照射皮膚障害モデル、化学物質起因性炎症性疼痛モデル、下肢神経障害性疼痛モデル)におけるマウスの疼痛関連行動を機械学習を用いて自動解析および独自のシステムの構築を行った。既存の非ステロイド性消炎鎮痛薬および麻薬性鎮痛薬を用いた実験では、紫外線照射モデル・化学物質起因性炎症性疼痛モデルにおいて従来の疼痛評価方法(機械刺激・温熱冷感刺激などに対する脊髄反射性疼痛関連反射評価)に比較し有意に薬剤効果検出の感度が高く、より低用量で薬剤の鎮痛作用を検出することができた。特にフーリエ変換赤外分光法による圧感受性シグナルを用いたマウス後肢の過重バランス評価パラメータは、疼痛の程度および薬剤の投与量に対し鋭敏な検出力を示した。また検者が介入することなく疼痛関連行動の評価ができること、および疼痛関連行動と同時に運動関連機能・行動解析も自動解析できるため、古典的疼痛評価法と比較し適切な薬剤効果評価が行えるシステムであると考えられる。上記疼痛モデル・および正常組織へのアミオダロン投与は、長時間の非常に強い鎮痛作用・可逆的感覚遮断を示したが、運動機能への影響はわずかであり、アミオダロンの感覚神経への選択性が示唆された。感覚神経への選択性は副作用の少ない鎮痛薬の開発において非常に重要であり、次年度は各種神経細胞を用いて、選択性の機序の検証を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19流行に伴う物資遅延や活動制限のため
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今後の研究の推進方策 |
感覚神経細胞・運動神経細胞・心筋細胞および各種電位依存型ナトリウムチャネル発現細胞を用いて、電気生理学的手法によりアミオダロンおよび関連多イオンチャネル阻害薬の細胞選択性を検証する。TRPV1チャネルの開口薬であるCapsaicinと荷電リドカイン派生薬であるQX314、およびTetrodotoxinをポジティブコントロールとして用い、電位依存型ナトリウムチャネル発現細胞の細胞内外投与時の反応を検証し、電位依存型ナトリウムチャネル抑制におけるアミオダロンおよび関連薬の作用機序を検証する。また、足底切開による術後性疼痛モデル、膝関節痛モデルを導入し、マウス行動解析による薬剤効果検証を継続する。
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