研究課題
弾性線維エラスチンは、786アミノ酸残基のトロポエラスチン単量体の間の複雑な架橋による多量体であるが、エラスチンの弾性・伸縮性に寄与するアミノ酸desmosine類を中心とした架橋部位の周辺構造は未解明である。本研究では、基課題における有機合成化学を基盤として調製できる環状ペプチド型desmosine類を用いることとする。そして、海外共同研究先に設置のLC-MS/MSを利用して、合成した環状desmosineペプチド、天然のエラスチンを酵素分解処理した試料、さらにはエラスチンの分解をともなう慢性閉塞性肺疾患(COPD)由来の試料について、フラグメンテーションや保持時間を詳細に解析することにより、desmosineを含む架橋構造の同定・解析を推進する。前年度までに、環状ペプチド型desmosineの他の構造をもつ環状ペプチドの化学合成を達成した。この化合物は、desmosineを中心骨格とし、アラニンとセリンによる1つまたは2つのトリペプチドを有する大環状ペプチドである。当該年度においては、応募者の研究グループで継続的に環状ペプチドの合成を推進した。海外共同研究先において、質量分析を継続的に遂行した。さらに、環状ペプチドの原料となるアミノ酸の合成に成功した。アラニンとセリンによる1つの大環状ペプチドの合成にも成功した。今後、さらに合成と質量分析を進めることで、エラスチン架橋構造の解明を目指す。
2: おおむね順調に進展している
ある程度の成果が出ている。
現在、基課題および前年度までに達成している環状ペプチド型desmosineに対して、別の構造をもつ環状ペプチドの化学合成を推進する。すなわち、ピリジニウム骨格に対して「知恵の輪」構造をもつペプチド化合物の合成を目指す。国際共同研究は引き続き続けることで、LC-MS/MS解析を推進する。残りの渡航予定は、現在の世界情勢を見据えて判断していく。
すべて 2024 2023 その他
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件) 学会発表 (26件) (うち国際学会 7件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
Tetrahedron Letters
巻: 134 ページ: 154853~154853
10.1016/j.tetlet.2023.154853
Bioorganic & Medicinal Chemistry
巻: 100 ページ: 117602~117602
10.1016/j.bmc.2024.117602
Helvetica Chimica Acta
巻: 107 ページ: -
10.1002/hlca.202300208
巻: 82 ページ: 117216~117216
10.1016/j.bmc.2023.117216
American Journal of Essential Oils and Natural Products
巻: 11 ページ: 12-16
Acta Biomaterialia
巻: 171 ページ: 209~222
10.1016/j.actbio.2023.09.041
巻: 132 ページ: 154805~154805
10.1016/j.tetlet.2023.154805
Synthesis
巻: 56 ページ: 763~770
10.1055/a-2205-7105
Chemistry Letters
巻: 53 ページ: -
10.1093/chemle/upad024
https://pweb.cc.sophia.ac.jp/usuki/index.html