研究課題
現在の畜産は、高騰する輸入飼料相場に翻弄される経営困難、循環不可の過剰糞尿処理、BSE等の食の安全、脂肪過多牛肉志向で硬直したマーケット、さらに集約的飼養による動物福祉等、多くの問題を抱えている。新しい生物科学概念「代謝プログラミング」研究をシーズとして牛の代謝を早期に制御し、飼料には日本の豊富な植物資源を放牧により高度活用し、その飼養管理には先端ICTを駆使する。さらに販売には、エシカル(倫理的な)ダイレクトマーケットを構築し、若い農業者が未来に希望をもち、産業として世界と戦えるよう畜産業を構造改革し大革新することを目標とした。今年度は以下のような結果を得た。①代謝プログラミング研究:遺伝子発現解析、マイクロアレイ解析、メタボローム解析、DNAメチル化解析を進め、メカニズムの一部を明らかとした。②ICT放牧管理システム:放牧肥育牛の素牛を生産するためのシステムとして、耳標の画像解析による個体認識をベースとした遠隔個体給餌システムのしくみの基盤を構築した。インプラント体温センサーによるウシの発情看視システムの仕組みを構築した。③マーケティング:牛肉の消費に関して、これまでに実施したウエブアンケート調査結果を解析し、飼養情報の有無が、牛肉購買行動に与える影響については、海外産牛肉の購入を手控え、国内産牛肉へ購入を増加させる傾向が見られることが明らかとなった。以上、黒毛和種における「代謝プログラミング」に関して分子生物学的解析を進めて、そのメカニズムの一端を明らかとし、日本の植物資源における牛肉生産、いわゆるタンパク質生産の最適メカニズムの一端を構築した。耕作放棄での放牧飼養に適した先端ICTシステムを構築した。さらに、そこから生産される牧草牛肉のマーケティング構築に関して、エシカル(倫理的な)ダイレクトマーケットを構築に寄与した。本年度はさらに現地にて実証的に研究を進めたい。
2: おおむね順調に進展している
黒毛和種における「代謝プログラミング」に関して分子生物学的解析を進めて、そのメカニズムの一端を明らかとし、日本の植物資源における牛肉生産、いわゆるタンパク質生産の最適メカニズムの一端を構築した。耕作放棄地での放牧飼養に適した先端ICTシステムを基盤の一つを構築した。さらに、そこから生産される牧草牛肉のマーケティング構築に関して、エシカル(倫理的な)ダイレクトマーケットの構築に寄与したので概ね順調に進展している。
黒毛和種における「代謝プログラミング」に関して分子生物学的解析を進めており、さらに胎児期の影響についても詳細に解析する。日本の植物資源における牛肉生産、いわゆるタンパク質生産の最適メカニズムの一端を構築する。今年度は、測位衛星データなどを用いた耕作放棄地での放牧飼養に適した先端ICTシステム等の基盤を構築する。さらに、そこから生産される牧草牛肉のマーケティング構築に関して、エシカル(倫理的な)な価値を高め、ダイレクトマーケットの構築に寄与する方法を見出したい。
2020年、年始1月頃より新型コロナウイルス感染症の拡大のために、実験実証地への調査や、打ち合わせができなくなるとともに、感染拡大防止の観点から実験室での実験もままならなくなり、実験計画が進められなくなった。次年度使用額は、実験計画の遅れを取り戻すべく、技能補佐員をアシスタントとして雇用し、人件費として使用する予定である。
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農業と経済
巻: 臨時増刊号 ページ: 19-32
畜産の情報
巻: 2019年11月号 ページ: 48-54